Skip to main content

サヘルで人々を不安に引き込む暴力の5つの事実

皆様のご支援をお願いします。ご寄付はこちら: https://www.jawfp.org/oneshot
, WFP日本_レポート

ブルキナファソ、マリ、ニジェールで、増加し続ける暴力により踏みにじられる、社会と人道支援の努力

サハラ以南の中央サヘル諸国のうちブルキナファソ、マリ、ニジェールにおいて、気候変動の影響に加え紛争や暴力により、人々の食料の確保がますます困難になっています。国連WFPはこれら3カ国に居住する140万人-うち95万人は紛争により難民化した人々-への、生きるために必要な食料を支援しています。国連WFPは12月までにこの活動の対象を480万人まで拡大する予定です。この計画への寄付はこちらから。

過去数カ月にわたり、人道支援組織は中央サヘルの3カ国における治安悪化に関する警告を繰り返し呼び掛けてきました。これらは現地の民間人や人道支援職員にとり、実際的にどういった意味をなすのでしょうか?私たちは、治安アナリストとしてWFPのマネジメントと状況が悪化する現場で働く職員にアドバイスをしているキャロライン・ベンチェヴさんに話をうかがいました。以下はその話から学んだ5つの問題点です:

0*MeaBdKVHYFpjMwXL.jpeg
紛争と恐怖のなかにあって、ブルキナファソ、マリ、ニジェールの幼い世代は、暴力をその解決の糸口と捉えて育つ恐れがあります。 Photo: WFP/Marwa Awad

1. 「襲撃のニュースがない日はない」

反政府武装勢力の拡大、政府軍及び国際協力部隊による反乱鎮圧行動、主としてマリ中央部とブルキナファソにおける村レベルでの自警団の発生が、紛争の過熱を生み、サヘル地域の大部分をその渦に巻き込んでいます。マリ、ブルキナファソ、ニジェールの3カ国が接する国境地帯では、武力こそがその中心にあり、それは急激に拡散しています。この緊張状態の高まりにより、既存の民族対立も悪化しています。

「基本的に、治安部隊への攻撃の報告がない日はありません。」ベンチェヴさんは述べます。「攻撃の内容は洗練されてきています。以前は孤立した部隊や警官隊の駐屯地への、数人による攻撃とそれに伴う撤退でした。しかしここ数カ月で、治安部隊に多大な被害を与える高度に体系化された攻撃が見られています。直近ではマリとニジェール間の国境における1月の大規模攻撃により、少なくとも89名のニジェールの兵士が亡くなっています。」

目撃談によると、よく見られる襲撃として、バイクとピックアップトラックの車列が数百の武装した人員を輸送し、、多方面からの攻撃を実施して軍事基地を滅多打ちにします。武装集団は基地の入り口を無効化するために自動車爆弾の使用をはじめています。これにより現場は混乱に陥り武装者たちの敷地への侵入を許してしまいます。これらの武装集団はまた、村人たちに税を課しています。

0*x1UO_KCXQzElzqoq.jpeg
攻撃にあいやむなく避難し、人道支援に頼ってやってくる民間人が増加しています。Photo: WFP/Simon Pierre Diouf

2.「攻撃対象となる民間人の増加」

これら3カ国において、今までは治安維持部隊が攻撃対象の最たるものでした。紛争が拡大-地元民兵の参加や、特定の部族や集団を狙った異集団間の暴行の増加-するにつれ、民間人の犠牲者数が爆発的に増加しています。

「はじめ、民間人は"巻き添えの被害者"でした、治安維持部隊や反乱鎮圧部隊への襲撃時に居合わせた-間違った場所に間違ったタイミングで存在してしまった者でした。」件のアナリストは語ります。「しかしここにきて増々、紛争に紛れて立場が反対の者に言いがかりをつける者たちにより、民間人がターゲットにされ、怯えさせられ、脅されたり殺害されているのを目にします。」

ブルキナファソでは、教会への襲撃や、過激さに欠けると見なされた 聖職者への襲撃など、宗教グループを標的とした殺戮が行われています。武装集団はまた州の代表や首長などもそのターゲットにしています。これらのことは主として、コミュニティー間の緊張を煽り、政府が治安を維持できないほど弱いというイメージの植え付けを武将集団が推し進めるために行われます。

0*KhSPu86zR_lpcxCM.jpeg
今まで、ブルキナファソ、マリ、ニジェールでは950,000人が暴力によって住む場所を追われました。Photo: WFP/Simon Pierre Diouf

誘拐もまた件数を伸ばしています。西洋人がその標的となる場合もありますが、その殆どが身代金や脅迫目的に誘拐される現地の人たちです。西部ニジェールで数多く発生している、地方の村長の身柄の拘束は恐怖心を掻き立て、人々の武装勢力への抗議や支援の要請を取りやめさせるために行われていると考えられており-人質は身代金が支払われれば解放され、払われなければ殺害されます。

3.「隣人ですら信用できない心理状況」

不安はすぐに日々の恐怖に変わりました。人々は武装グループが村を襲い、自分の子どもたちが殺されてしまうかもしれないという絶え間ない不安のなか生活を送っています。遠く離れたコミュニティの襲撃の噂が、推測であれ、事実であれ、嘘であれ野火のように広がります。

「人々は誰を信頼してよいかわかりません。彼らは誰を信じてよいのかわからないのです」ベンチェヴさんは言います。「隣人に友好的であった人々はいまや恐怖のなか、互いに指差しあっています。この憎しみの連鎖こそがサヘル地域で次々と明らかになる悲劇の中で、最も危険な性格をおびたもののひとつです。」

4.「打ち捨てられた村々」

武力が行使された一帯の村々は打ち捨てられました。950,000人もの人々がブルキナファソ、マリ、ニジェールの国内で難民となっています。彼らは畑を捨て、今は迎え入れてくれるコミュニティー-彼ら自身も困窮にある-もしくは、あれば政府や人道支援に寄る辺を求めています。学校教師たちは繰り返し威嚇され脅され、その多くは学校が閉鎖されている間、罷免されました。ブルキナファソでは2,000校が閉鎖され、300,000人以上の子どもの教育の機会が中断されたままです。

0*Xg-ndJqcS17OAk4B.jpeg
暴力的行為により、ますます多くの人々は畑を手放すことを余儀なくされ、開発の成果が失われていきます Photo: WFP/Marwa Awad

5.「避難を選ばない人々にも待ち受ける恐ろしい運命」

留まることを選ぶ人たち-往々にして老人や幼子を抱える一家のような最も脆弱な人々-は困難な状況に直面しています。人道支援団体へのアクセスが貧弱であればそれは、しばしば支援からの脱落を意味します。彼らは武装グループや民兵により課税と強奪の標的とされています。反乱鎮圧作戦の中、残留した人々は武装集団との共闘の嫌疑をかけられることもあります。

3カ国の一部で治安対策として行われるバイク使用の禁止は人々の生活をさらに困難なものにしています。「武装集団により使用されるバイクは、村に住む人々にとっても市場や、農地や、病院への大切な交通の手段でもあります。」と、ベンチェヴさんは付け加えます。

こういった日々の問題もさることながら、成長期に暴力を目の当たりにするということがサヘル地域の若い世代にとって、深刻な問題になると懸念されています。ベンチェヴさんは警告します:「暴力が日常にありふれたものとして存在するようになってしまった少年や少女にとって自分の運命は暴力によってのみ決まると思い込んでしまう恐れがあります。」