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【日本人職員に聞く】東日本大震災を振り返って―ともに全力で立ち向かう(後編)

, WFP日本_レポート

10年前、東日本大震災では国連随一の輸送集団であるWFPはその強みを生かして被災地の支援にあたりました。世界各国で飢餓と闘う日本人職員も物流・緊急支援のプロフェッショナルとして駆けつけました。当時日本での全体のオペレーションの調整を行った山﨑和彦さんに当時の経験について聞きました。

前編はこちらから

一から作り上げる難しさ

日本では通常の支援現場と違って普段は緊急プロジェクトを実施しているわけではないので、必然的にスタッフや物資の調達、様々な活動の場を一から速やかに整える必要がありました。しかし、緊急支援という意味では、いかに早く必要なものを必要なところ、人へという原則は変わらず、WFPの機動力の強さを発揮できたと思っています。

私は本部にいることが多かったのですが、それでも仙台、石巻、陸前高田、山田、郡山など数回被災地を訪れました。印象に残っているのは、自治体の職員の方々が、ご自身も被災者であるにも関わらず、地域の人々のため、懸命に全力を尽くして支援にあったておられた姿です。

また、2011年5月頃には、WFPが支援をした岩手県山田町で、テントを使った「仮設商店街」のオープニング式典に招かれました。地元商店会会長さんのご挨拶の中で、「私たちの『復興』はまだまだ先ですが、今日は『復活』の第一歩です!」との言葉を聞いたとき、私たちのささやかな活動も意義があったかなと、なんとか頑張ってきてよかったなと胸が熱くなりました。10年を経た今も忘れられません。

全力で立ち向かい、役に立つ成果

決して大規模なプロジェクトではないけれども「被災者の方々のために本当に役に立つプロジェクトを作り上げよう」をスタッフ皆で肝に銘じ、目標に置いていました。WFP単体ではなにもできなかったと思いますが、様々な場面でこの活動に関わってくださったすべての人、会社、組織の総合力を発揮し、ともに全力で立ち向かい、そして「実際に役に立つ」という成果を残せたかと思います。

災害は起きてほしくはないけれど、いつどこで起きてもおかしくない。そのための準備は常にしておかなかればなりません。平時からWFPの物資の備蓄や定期的なボランティアの育成訓練などの重要性を改めて認識しました。またこの時の教訓は私自身も支援に加わった2016年の熊本地震の時にも生かされ、より早く効果的な支援に繋がりました。

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Photo: JAWFP

10年前寄付などを通じて支援してくださった、日本を始め世界各国の個人、企業、すべての支援者の皆様にも深く感謝いたします。私自身はWFPでの職歴も20年になるのですが、まだ限られた国にしか行っていませんし、今後も支援現場の最前線でロジスティクスの仕事を続きていければと考えています。

山﨑和彦 国連WFPイエメン・ホデイダ地域事務所 ロジスティックスオフィサー2000年JPOとしてローマ本部に着任。以降ケニア、エチオピア、ローマ本部、マレーシアのUNHRD、アフガニスタンを経て現在イエメンで勤務。