虐殺から25年、ルワンダの“いま”を訪れる
~竹下景子さんの視察報告(前編)~
国連WFP協会親善大使の竹下景子さんが今年7月、アフリカ・ルワンダを訪れました。ルワンダは、25年前の1994年に80万人以上が犠牲となる大虐殺が発生した悲しい歴史を持つ国です。その後四半世紀を経て、同国は「アフリカの奇跡」と言われるほどの発展を遂げており、現在はIT立国としても知られていますが、一方で、今でも人口の35%が栄養不足に陥っています。
竹下景子さんのルワンダ視察ムービーはこちら
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10年前の子どもたちに再会
今回の訪問、実は一つ、大きな目的がありました。
皆さんはこちらの写真をご覧になったことがありますか?
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これは、10年前の2009年にルワンダで、公益社団法人ACジャパンによって制作された、国連WFPの学校給食支援の広告「hopeを消さないで」の写真です。
今回の訪問目的の一つが、この写真に登場した子どもたちに会うことでした。10年前に撮られたこの写真1枚を頼りに、事前に現地事務所を通じて子どもたちを探してもらい、何とか4人が見つかりました。そして私たちの訪問日に、当時広告を撮影した小学校に来ることができた2人に会うことができたのです。
その2人が、下の写真に写っている、クラリスちゃん(中央左)とジャン・クラウドくん(中央右)です。
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クラリスちゃんは現在18歳の高校生。「給食は嬉しかったですし、成長できて無事小学校を卒業することもできました。10年前の撮影のことも覚えています。音楽が好きなので、将来はミュージシャンになりたいです」と嬉しそうに教えてくれました。
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ジャン・クラウドくんは20歳で、現在はマカダミアナッツを作る会社で苗木を植える仕事をしています。「給食は豆やトウモロコシ粉で作られていて、楽しい時間でした。将来は自分のお店を持ちたいです」と夢を語ってくれました。
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竹下さんは、「子ども達にとっての10年がどんなに成長目覚ましい期間かということを実感しました。給食支援は長期にわたる支援で、すぐに成果があらわれるものではありませんが、2人の美しい成長ぶりを見て私も嬉しくなりました」と語りました。
子どもの未来を支える給食
クラリスちゃんとジャン・クラウドくんが通っていた学校は、既に国連WFPの学校給食支援は卒業していましたが、現在でも国連WFPの給食支援が実施されている学校にも訪れました。訪問したのは、首都・キガリから車で南に3時間ほどのところにある、ニャマガベ郡カメゲリ地区のルスサ小学校。同郡は、ルワンダの中でも最も貧しい地域の一つであり、給食が一日一度の食事という子どもも多くいます。
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「お皿に山盛りの給食を見て、本当に食べられるのかとはじめは思いましたが、これが一日分の食事になる子も多いのですから、納得です」と竹下さん。
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6歳の娘がこの学校に通うというお母さんクロディーンさん(30歳)に話を聞くと、「給食があるから通わせられます。家族の会話でも給食の話が出てきます。娘は成績もよく、将来は医者になりたいと言っています」とのこと。
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給食支援がある学校では退学率が1%以下にもなるとのこと。給食が、子ども達の食、そして教育を確実に支えていることを確認できました。
飢えを抜け出すための自立支援
ルワンダでは農村部で暮らす人の多くが農業に従事しています。また国土は丘陵地帯が多く、ほとんどが斜面です。そのため、近年の気候変動の影響による予期できない規模や頻度の大雨、干ばつが原因で農業が不作に終わることにより、特に農村部の人々が困難に直面しています。
「発展目覚ましいと言われながらも、どうしても見落とされがちな人たちがいるということを目の当たりにしました」と竹下さん。
そこで国連WFPは、自然災害による被害を減らし、食料不足を解消するための支援を行っています。
訪問したニャマガベ郡カメゲリ地区では、湿地帯の開墾や灌漑設備の整備のために地元の農家の人々に労働に参加してもらい、その対価として食料購入のための現金を支援しています。
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今まで農業ができなかった土地でも三毛作ができるようになり、豆・トウモロコシ・ジャカイモなど様々な食料を収穫し、自給自足のみならず、国連WFPの支援食料として南スーダン等に出荷もしています。
国連WFPは、支援終了後に地元の人々が自立できるよう、強い地域社会づくりを目指しています。
(後編はこちら)