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飢きんのような飢餓状態:木の葉を食べるしかないイエメンの家族

WFP国連世界食糧計画(国連WFP)は今年に入り、イエメンのすべての飢きんの危険がある地域への支援を強化してきました。しかし、経済が悪化し続ける中、食料支援があっても家族は生き延びるのに苦労しています。
, Annabel Symington
Yemen. Abdullatif, 35, with his children, Fatima,7, Ali, 6, and Jalal,1
アブデュラティフは家族のためにハラスと呼ばれる木の葉を調理しています。Photo: WFP/Mohammed Awadh

イエメン北部ハジャ州の遠隔地のマグラバでは、家族は生き延びるための最後の手段として地元の木の葉を食べています。葉を茹でて苦い味のするペースト状にして少し消化しやすくしています。マグラバは、2020年末に飢きんのような状況が確認されたイエメンの11地区の一つです。

「食べ物がなく死んでしまうのではないかと思うことがあります。近所の人たちから少しずつ食べ物をもらうこともありますが、夜になるとお腹がすいてしまいます。私たち全員です。そうなると、葉っぱを食べなければなりません。この木は私たちの村に生えていて、ここにいる多くの人が食料不足のために葉っぱを食べています」とアブデュラティフは言います。

 

「食べ物がないと死んでしまうのではないかと思うことがあります。近所の人たちから少しずつ食べ物をもらうこともありますが、夜になるとお腹がすいてしまいます。私たち全員です。」

 

アブデュラティフと彼の妻には5人の子どもがいます。彼らは小麦粉、豆類、油、砂糖、塩などの主食が入った食料配給を国連WFPから毎月受け取っています。それが唯一の食料で、それがなくなると、家族はハラスの木の葉を集めて食べます。以前はたまにしか食べなかったハラスの葉を、今では日常的に食べるようになりました。

 

アブデュラティフの村は、燃料不足でさらに孤立しています。イエメンへの燃料の輸入量は前年比73%減少し、燃料費が高騰し、闇市が形成されています。今や公共交通機関を利用できる村人はほとんどおらず、医療を受けるための移動はもちろん、市場に食料を買いに行くこともほとんど不可能になっています。

Father Essam leaning over his son who is sleeping on a hospital bed in Al Sabeen Hospital in Sanaa
6ヶ月のフアードは、同年齢の赤ちゃんの平均体重の約半分です。 Photo: WFP/Mohammed Awadh

若い父親のエッサム(25歳)は、栄養不良の息子、フアードの治療のためにハジャからサヌア市までの交通費を稼ぐために、家族が持っている2本の調理用ガスボンベを売りました。生後3カ月のフアードは、入院したときの体重が3.2kgと、同年齢の赤ちゃんの平均体重の約半分しかありませんでした。

 

「何を売っても構わない。私は息子の命を救いたかったのです」とエッサムは国連WFPに語りました。

 

市場にアクセスできる家族であっても、食料価格の高騰により、イエメンの何百万人もの人びとが1日を過ごすのに十分な食料を買うことができずに苦しんでいます。アビヤン(Abyan: 60%)、マアリブ(Ma’rib: 55%)、ハドラマウト(Hadramawt: 50%)、アデン(Aden: 46%)、ダーリウ(Ad Dali: 46%)など、南部のいくつかの州では、年初から最低食料配給の費用が40%を大きく超えて上昇しています。北部では、多くの地域で価格が25%以上上昇しています。

 

「何を売っても構わない。私は息子の命を救いたかったのです」

 

イエメンの危機は複雑ですが、長年の戦争がアブドゥラティフのような家族に与えた影響は明らかです。

 

「私のような若者には、もっと良い人生があるべきです。今は自分の将来はどうだっていい。子どもたちをどうやって養うか心配しています」とアブデュラティフは言います。

Abdullatif, 35, with his children at their very simple house
アブデュラティフと末っ子2人。2人とも急性栄養不良の症状が出ています。Photo: WFP/Mohammed Awadh

アブデュラティフさんの2人の末っ子(1歳のジャラルと4ヶ月のジャリラ)には、急性栄養不良の兆候が見られます。彼らの髪が金髪になっているのは、深刻な栄養不足の兆候です。彼らは、今年栄養不良の危険にさらされている230万人のイエメンの5歳以下の子どもたちのうちの2人にすぎません。

 

しかし、警告のサインが出ているにもかかわらず、アブデュラティフは、彼らを栄養クリニックに連れて行く余裕がないと言います。交通費が高すぎるのです。

 

イエメンの危機は一向に収束する気配がなく、飢餓も拡大しています。国連WFPが追跡調査している飢餓の指標の一つである不十分な食料消費量は、経済不況の影響を大きく受けて増加しており、南部では45%、北部では37%の人々が十分な食料を食べていません。

Yemen. Abdullatif, 35, in Maghrabah district in Hajjah governorate
物価の高騰により、イエメンの家庭では食料に手が届かなくなっています。Photo: WFP/Mohammed Awadh

「飢餓は誰にも慈悲を与えません。飢餓は、あなたとあなたの子どもを殺します。私は飢餓をいつもそう考えています:殺人者として。幽霊のように。」

 

最近の歴史を見ると、国連WFPのような最前線の人道支援機関への支援がイエメンを変えていることがわかります。2019年に飢きんが回避されたのは、ドナーからの支援で国連WFPが食料支援の規模を50%拡大することができたからです。またこれに連動するかたちで、サウジアラビア王国によるイエメン中央銀行への20億ドルの預金が、食料の輸入を促進し、為替レートの回復を支え、食料の価格を引き下げることにも繋がりました。

 

しかし、国連WFPの食料は10月から底を突くと予想されています。食料支援は、イエメンの多くの家族が必要としているものの一部分に過ぎません。保健、保護、教育、水と衛生(WASH)サービスなどの他のプログラムも規模削減に直面しています。

 

今週、国連総会に向けて世界の指導者たちが集まる中、国連WFPは、食料と燃料をより入手しやすく、手ごろな価格で提供するための行動が取られない限り、イエメンのニーズのレベルは拡大し続けることを忘れないよう要請します。今日の行動は、命を救い、平和の基礎を築くことになります。

 

イエメンに平和が訪れるまでは、飢餓の恐怖が家族を襲い続けます。

 

「飢餓は誰にも慈悲を与えません。飢餓は、あなたとあなたの子どもを殺します。私は飢餓をいつもそう考えています:殺人者として。幽霊のように。」とアブデュラティフは言います。「子どもたちが心配です」。

 

国連WFPのイエメンでの活動についてはこちらをご覧ください。

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