Skip to main content

イエメンで飢えをしのぐサフィアさんと家族

6年間の紛争により、何百万人もの人々が壊滅的な打撃を受けており、緊急に必要な資金がなければ、飢饉が現実のものとなります。
, Annabel Symington, Peyvand Korshandi & Paul Anthem
Taking mid-upper arm circumference measurement
国連WFPの栄養治療により、スルタン君の状態が改善されました。 Photo: WFP/Mohammed Awadh

「子どもたちは私たちよりも大切な存在です」と語るサフィアさんは、子どもたちに食事を食べさせるために、頻繁に食事を抜いています。「子どもたちが食事をしているとき、私は空腹を感じません......子どもたちがお腹いっぱいになれば、私もお腹いっぱいになります。子どもたちが病気になれば、私も病気になります。」

 

2020年の夏、サフィアさんは息子のスルタン君が急性栄養不良になったのを沈痛な思いで見ていました。重度の急性栄養不良(Severe acute malnutrition:SAM)は、飢餓の中でも最も危険な状態のひとつです。当時、夫のアラファトさんは、戦争で荒廃したイエメンを襲った新型コロナウィルスの影響で、仕事を見つけるのに苦労しており、一家は1日2食を食べるのがやっとという状態でした。

 

わずか13カ月の赤ん坊のスルタン君は、将来を失う危険性がありました。幸いなことに、イエメンの戦争でホデイダを追われてサナアに避難してきたスルタン君の家族は、国連WFPが支援する栄養クリニックの近くに住んでいます。

サフィアさんとアラファトさんは、スルタン君をクリニックに連れて行き、国連WFPの栄養不良治療プログラムに登録しました。定期的な栄養サポートにより、スルタン君は徐々に改善し始めました。2020年9月には、中等度の急性栄養不良に分類されました。改善されたとはいえ、子どもの身体的・認知的な発達を妨げる深刻な栄養不良です。しかし、2021年初頭には、健康な状態で退院することができ、両親も安心しました。現在、彼は3カ月ごとにクリニックでモニタリングを受けています。 

 

Portrait of child
紛争により、スルタン君をはじめとするイエメンの多くの人々の生活が損なわれています。Photo: WFP/Mohammed Awadh  

「医者から息子が回復したと聞いたとき、私は安心してとても幸せでした」とサフィアさんは言います。「あの時、私は息子を強く抱きしめたいと思いました。今では私と一緒に笑ってくれます。今、息子が元気になったことに感謝して、夜は少しずつ眠れるようになりました。」

 

しかし、スルタン君とその兄弟に対する脅威は依然として残っています。国連WFPは深刻な資金不足のため、通常の毎月の食料支援ではなく2カ月に1度しか食料支援を行うことができず、スルタン君と兄、2人の姉は飢えの危機にさらされています。

 

 

 

小麦粉、乾燥豆、油、砂糖、塩の配給は4週間分ですが、父親がバイクの運転手やハマムのマッサージ師などの不定期な仕事をしている場合は6週間やりくりすることができます。

 

スルタン君はまた、栄養不良にならないように、ピーナッツをベースにしたすぐに食べられる栄養補助食品を受け取っています。

 

「お金があれば、何よりもまず食べ物を買うことにしています。野菜、米、魚などです」とアラファトさんは説明します。「私は、自分のことよりも、できる限り(家族のことを)気にかけています。」

 

「例えば、自分のために何かを手に入れたいと思っても、そうしません。一日中外で働いていても、昼食は買いません」子供たちが食べられるようにと、サフィアさんが食事を抜くことも珍しくないです。

 

Father with child
家族が食べられるように食事を抜いているというアラファトさん。 Photo: WFP/Mohammed Awadh 

イエメンは現在、瀬戸際に立たされています。6年間の紛争により、何百万人もの人々が壊滅的な打撃を受けています。5万人が飢饉のような状況に直面しており、500万人がこの最悪のシナリオの一歩手前の状況にあります。さらに1,100万人が危機的なレベルの食料不安に直面しています。2021年には、イエメンの5歳以下の子どもたちの約半数にあたる230万人が、スルタン君のような急性栄養不良に陥ると予測されています。

 

このように数百万人が絶望的な状況に置かれているため、サフィアさんとその家族は、他の多くの人々よりもわずかに恵まれた状況にあると感じています。「ホデイダにいる家族に電話すると、本当の飢えの苦しみを聞かされます。数日間も食べ物が手に入らないんです」と彼女は言います。

Ruins of a building
6年間の紛争は、イエメンとその国民に甚大な被害をもたらしました。 Photo: WFP/Ammar Bamatraf 

サフィアさんとその家族は、2015年にホデイダから避難しました。アラファトさんは倉庫で13時間のシフト制で働いていました。生活は苦しく、家族にもほとんど会えませんでした。しかし、少なくとも食卓に食べ物を並べることはできていました。

 

その後、戦争が起こり、学校は閉鎖され、雇用市場も崩壊しました。すべての倉庫が閉鎖され、それに伴い一家の唯一の収入源が失われました。一家は東のサナアに向かい、そこで一部屋を月70ドル相当で借りています。

 

アラファトさんとサフィアさんの最大の関心事は、最も弱い立場にある末っ子の健康です。彼らは、スルタン君が次の食事が保証されていることを当然のこととして、将来を見据えることができるようになりたいのです。

Family at home
サフィアさんとその家族は、月に70米ドルでシングルルームを借りています。Photo: WFP/Mohammed Awadh 

また、サフィアさんは子どもたちの教育や将来のことも心配しています。自分の母親が自分を高校まで支えてくれたように、今再び学校に通えるようになった自分の子どもたちにも同じことをしてあげたいと思っています。スルタン君も年頃になったら一緒に学校に通う予定です。

 

「私は勉強して高校を卒業しましたが、私が達成できなかったことを子供たちに果たしてほしいと思っています。つまり、大学を卒業し、私たちが受けた苦しみに見合うだけのものを達成してほしいのです。」と彼女は言いました。

 

イエメンの飢饉を防ぐために、国連WFPは2021年に少なくとも19億ドルを必要としています。国連WFPは、すべてのドナーが支援を拡大し、例年通りの寛大な人道支援活動への資金提供を継続することを求めています。2019年に飢饉が回避されたのは、国際社会の支援のおかげであり、国連WFPは支援の規模を50%以上も拡大することができました。

 

国連WFPの栄養プログラムは、今年330万人の子どもと母親に栄養不良の治療と予防の両方を目的とした栄養補助食品を提供することを目指しており、USAID、KS relief、ドイツ、カナダ、日本が支援しています。しかし、現在、さらなる資金が得られない限り、国連WFPは7月以降の栄養プログラムの計画に致命的な打撃を受けることになります。