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イエメン: 飢餓に直面する人びと -3人の物語

, WFP日本_レポート

イエメンでは、何百万人もの人びとが飢餓の危機に瀕しています。中でも子どもたちの苦しみは最も深刻です。異なる立場からイエメンの現実に直面する3人の切なる声をお届けします。

救えたはずの命、涙で治療にあたる日々

-ナグラ医師 ~イエメン・サナアの病院より

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ナグラ医師: イエメンの首都サナアのアル・サバイン病院 小児科長 Photo: WFP/Abeer Etefa

「この病院で、毎日、2〜3人の子どもたちが幼い命を引き取ります。子を持つ母として心を痛め、それ以上に、医師として救うことができたはずの命と分かっているので、胸が張り裂ける思いです。子どもたちは、予防可能な原因で命を失っています。もし薬や医療器具、適切な条件があれば、命を救えたかもしれません」

「紛争により、軽度から重度まであらゆる栄養不良の症状が見られるようになりました。また、病院ではコレラ、麻疹(はしか)、ジフテリアのような感染症や伝染病の若年患者も受け入れています。そんな子どもたちを見ては、何度も泣きました。適切な栄養があれば栄養失調から、ワクチン接種を受けられていれば病気から救われていたかもしれないからです」

「人びとは非常に貧しい地域から来ていて、適切な食料の入手が困難です。わが子のためにミルクを買うことができない母親たちが、お米を沸かせた白いゆで汁をミルクの代わりに赤ちゃんに与えているのを何度も目にしました。それではただの澱粉質の水で、栄養は何もありません。母親たち自身も栄養不良です。食べるものがないので、十分な母乳が出ないのです。それは非常に悪循環です」

栄養不良から子どもたちを救う、過労の医療現場

-マイカ看護師 ~イエメン・ハッジャの保健所より

「私たちはこの保健所で24時間働いています。ここはアスレム地区の唯一の保健所で、周辺の村すべてが対象です。人手が足りず、悲鳴をあげています。ベッド数よりも子どもたちの数が多く、時にひとつのベッドに3人を寝かせ、残りの子どもたちは床に敷いたマットレスの上に横にします」

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イエメン・ハッジャ県 アスレム保健所のマイカ看護婦長。マイカと同僚たちが抱える悲しみを表情が物語っています Photo: WFP/Abeer Etefa

「ほとんどの子どもは、重度の急性栄養不良と下痢や肺炎に苦しんでいます。彼らに対しては最低でも4時間ごとの回診が必要なほど症状も深刻で、幼い命を救うため、時間との闘いです。重症な赤ちゃんのほとんどは、ホデイダでの戦闘から逃げてきた家族の子どもです。また避難してきた人びとを受け入れているアスレム地区の子どもも沢山います。飢えがあらゆる子どもたちを襲っています」

「ここで働く医療従事者は、3カ月以上給与を支払われておらず、休みも取っていません。私たちは人命を救い、イエメンの未来を守るという義務から、多くの重圧の中で働いています。それが、ここから私ができる唯一のことだからです」

食べさせるものが何もない!イエメンの母、苦闘の毎日

-アイシャ、3人の幼子を抱えて

「時々、私は病院で何をしているんだろう、と思うことがあります。病院に行く度、5歳の息子は重度の栄養不良で治療を受け、そして私たちは病院を後にします。家に帰ると息子に食べさせるものがないので、また数週間後には病院に行くことになるでしょう。生後6カ月の息子にミルクを与えるため、私も何も食べていません。希望はなく、悪循環が続いています。夫は軍隊にいましたが、紛争で戦うことを避け、辞めてしまいました」

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3人の子どもの母であるアイシャ。サナアのアル・サバイン病院で Photo: WFP/Abeer Etefa

「紛争が始まる前は、私たちは生計を立て、子どもたちを育て、そして親戚家族を支えることもできました。もし状況が厳しければ、時にお金を借りることもできたでしょう。しかし今はすべてが異なります。皆、同じ苦境に立たされ、誰もが苦労をしています。家族が食べるためのお金もままならず、まして、親戚や友人を助けるためにお米を分け与える余裕がある人などいません。紛争はすべてを奪いました。食料、お金、そして、人と人の間の優しさまで。状況は悪化の一途を辿っています。私は息子を急いで病院に連れて行かなければならず、他の2人の子どもたちにたったスプーンひとさじのごはんすら食べさせることができず、家を出ます」

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息子のモハメドを病院のベッドで寝かしつけるアイシャ Photo: WFP/Abeer Etefa

「5歳の息子は、体重が9キロしかありません。私たちにはあまりに多くの闘いがあります。今、最も深刻なのは、毎日の生活を脅かすインフレ戦争です。元凶となるもう1つの紛争も直ちに止めなければなりません。しかし、私が毎朝起きる度に感じる恐れは、家族に何を食べさせられるか、という物価高騰との闘いなのです。私たちは先月から国連WFPの食料支援を受け始めました。本当に助かっています。そして、この支援が続くことを願っています。近所の人たちは、支援をいつも受けられているわけではありませんから」

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深刻な栄養不良に苦しむ子どもたちに、国連WFPは支援を届けます Photo: WFP/Abeer Etefa

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