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国連WFPの融資が、ルワンダの女性農家の希望に

国連機関のプロジェクトで農作物の栽培やビジネスを行う女性たちを支援
, J. Paul Sesonga, WFP Staff
A woman with two big cabbages she's grown in Rwanda
ルワンダのンゴマ地区の自分の区画に太陽光発電による灌漑システムが導入され、実った2個のキャベツを誇らしげに見せるゴレッティ・ウウィティジェさん。 Photo: WFP/JohnPaul Sesonga

ゴッドリブ・ニヨナジラさんは、鍬を手に、ルワンダの首都キガリから130kmほど南にあるムインザ村の静かな丘陵地帯の自分の畑に向かいます。温かい太陽の光が、急な斜面を吹き抜ける肌寒い風を追い払います。

ニヨナジラさんはトウモロコシを育てています。その収入で家を改築し、医療保険に加入したいという、大きな計画があります。女性農家に手の届く条件で融資を提供するWFP国連世界食糧計画(国連WFP)のイニシアチブのおかげで収穫が大幅に拡大し、どちらの計画も実現できそうです。

 

「家族が食べていけるよう、一生懸命働いています」とニヨナジラさんは言います。「そして余剰分を売って、食料以外に充てています」ニヨナジラさんは5人の子どもを持つシングルマザーです。

国連WFPの取り組み「SheCan」では、ルワンダの1,200人以上の小規模農家を支援しています。ルワンダはアフリカでも特に人口密度が高く、1,320万人の国民のうち、38パーセント以上が貧困線以下の生活をしています。


SheCanの活動

•    クラウドファンディングとドナー国の拠出金を活用し、女性のビジネス拡大を支援しています。被支援者の大半が女性生産者です。

•    SheCanは、国連WFPが国連の他の3機関(国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連女性機関(UN Women))と協力し、ルワンダの農村部の女性を支援する多くの活動の一つです。

•    農村部の女性がビジネスリーダー、そして地域社会を変えていくための力となるためのツールの提供を目指します。ひいては、ジェンダー不平等と貧困を解消し、食料をより安定的に確保できるよう支援します。


ルワンダでは女性の政治参画が進んでおり、女性議員の比率は61パーセントに上りますが、他の分野では女性の社会的地位の向上に多くの課題が存在しています。

特に、ニヨナジラさんのような女性農家の場合がそうです。女性農家はルワンダにおける農業の屋台骨であり、労働力の79%、国内経済の3分の1近くを占めています。それにもかかわらず、畑を耕す、あるいは種を蒔くまでにも多くの障壁があります。

18歳以上の銀行口座の保有率は、男性では38パーセント、女性ではわずか34パーセントです。女性世帯主の家庭は、男性世帯主の家庭より貧しい傾向にあります。

landine Mukakarisa poses for a photo with a hoe, a tool she uses to cultivate the garden. Her maize production increased due to good agriculture practices. Photo: Cordaid/Irihose Mugiraneza
耕作の手を休めるブランディン・ムカカリサさん。農業生産工程管理(GAP)により、トウモロコシの生産量が増加しました。 Photo: Cordaid/Irihose Mugiraneza

また、女性農家は男性農家より教育水準が低く、自給型農業を営む傾向にあります。そして、ほとんどの女性が料理、掃除、子育てといった無報酬の家事も切り盛りしており、農作業に費やせる時間が制約されています。さらには、事業を進めるために必要な土地、資金調達、農業関連サービス、マーケットなども十分に利用できません。

国連WFPのルワンダ事務所代表のアンドレア・バグノーリは次のように述べています。「このような女性支援の取り組みを通して、経済格差を解消し、バランスの良い栄養を確実に取れるよう支援し、さらには女性の活躍を妨げる制度的な障壁を取り除くことを目指しています」

国連WFPの革新的な資金援助により、ニヨナジラさんをはじめとするトウモロコシ生産者は、COAMAGI(ギザガラ地区トウモロコシ農業協同組合)と呼ばれる女性主導型の協同組合の会員として、様々な金融機関から手ごろな価格で融資を受けられるようになりました。国連WFPはマイクロファイナンス機関と連携し、優遇金利、手数料の引き下げ、融資条件の緩和などに取り組み、資金を貸し出しました。

A woman in a field in Rwanda
国連WFPの支援と金融機関との連携で生産が拡大したトウモロコシ畑に立つゴッドリブ・ニヨナジラさん Photo: Cordaid/Irihose Mugiraneza

この融資でニヨナジラさんは生産活動を拡大し、トウモロコシの収穫量は実に3割増加しました。「生活が変わったことをとても嬉しく思います。貧困から抜け出す本当の希望が見えてきました」とニヨナジラさんは言います。

ニヨナジラさんと同じ協同組合の会員のブランディン・ムカカリサさんも、「トウモロコシの生産量が倍増した」と話します。

このほか、国連WFPとそのパートナー団体は、ルワンダ全域の女性農家を支援しています。ルワンダ東部では国連WFPのプログラムで太陽光発電による灌漑システムを導入し、女性協同組合19団体の2,000人の農家に恩恵をもたらしています。

その結果、これまで雨不足に悩まされてきたンゴマ地区では豊作となり、ゴレッティ・ウウィティジェさんなどの生産者の収入は10倍に急増しました。「大きな変化を嬉しく思います」とウウィティジェさん。「これまで、いつ降るか分からないわずかな雨にすがるようにして作物をなんとか育てていました。太陽光発電による灌漑システムの導入により、大きな収穫を得られるようになりました。国連WFPの支援のおかげです」

村落部の女性に対する国連WFPの取り組みは、経済的な支援にとどまらず、ジェンダー不平等や貧困の解消、そして地域単位、世帯単位での食料安全保障の向上を目指すものです。

国連WFPルワンダ事務所代表のバグノーリは言います。「農業分野の女性に対する支援は、経済的なウェルビーイングを向上させるだけでなく、彼女たちの属する地域社会にも波及効果をもたらします」

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