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バングラデシュでの農作物の栽培を通じた女性の自立支援

国連 WFPが提供するビジネススキルの訓練は、女性が自立したコミュニティーのリーダーになる後押しをしています。
, Antoine Vallas
A woman stands in a field with eggplants in her hand, other women are visible in the background.
ハソン・アラが暮らすバングラデシュのコックスバザール県ウキヤ郡では、ナスは主要な農産物です。写真: WFP/Sayed Asif Mahmud

4年前、ハソン・アラの暮らすコックスバザールに数十万人のロヒンギャ難民が到着した直後、彼女は国連WFPより食料配給を受けました。

 

当時、食品を扱う商人である彼女の夫は仕事探しに頭を抱えていました。また、物価の高騰により8人家族を養う余裕がありませんでした。そのため、彼らは子どもたちに食べさせるために頻繁に食事を抜いていて、鶏肉や魚を食べることは夢のまた夢でした。

 

ハソン・アラは2018年に、コックスバザールで最も脆弱な立場にある農村女性を対象に、ベンチャー事業の開始または拡大により収入と栄養価の高い食品へのアクセスを増やすことを目的とした国連WFPのプロジェクトに参加しました。

 

彼女と彼女の暮らす地域の何百人もの女性が、国連WFPから180米ドルの助成金を受け取り、野菜の栽培と家畜の飼育を始めるために使用されました。 (加えて、女性たちは事業立ち上げ期間に月額12米ドルの手当を受け取りました。)

プロジェクトの参加者は、事業計画の作成方法、安全な集金と貯蓄方法、余剰分をどこでどのように販売出来るかを学びました。また、会計と基本的な財務管理も学びました。

 

「私たちは、貯蓄方法、買い手との交渉術、加えて損失防止のための作物保護や保管方法も教わりました。虫の対処法と虫の侵入があった場合に誰に連絡するかも教わりました」とハソンは言います。

 

「この土地が私たちを養い、私たちが食べられないものは売ることが出来ます。」

 

プロジェクト開始時、ハソン・アラが他の23人の女性と結成した農民組合は、週平均80kgの野菜を生産出来ると予想されていましが、現在では週平均280kgもの量を生産しています。

 

「私たちは今、より多くの土地を持っています。土地は私たちを養い、私たちが食べられないものは売ることが出来ます」と彼女は言います。

A woman holds a sheet of paper on which she has written her business plan
ハソンの事業計画書。写真: WFP/Antoine Vallas

また、国連WFPは同じ地域に「集約施設」を建設しました。この施設では、買い手と売り手が集まり、新鮮な農産物の交渉取引を行うことができます。同施設では、農家が大型荷物を運ぶ際に利用出来るよう、三輪タクシーを提供しています。農産物の一部は、国連WFPが毎月約90万人のロヒンギャ難民に食料支援を行うキャンプに食料を提供をする業者により直接買い取られることで、2つのコミュニティに同時に裨益しています。

 

「以前は農産物を売るためにウキアの市場に行く必要がありましたが、今では集約施設で販売することができ、大変助かっています。」と彼女は言います。 「私たちの事業が大きく成長したため、買い手が時々私たちのもとに直接訪れることもあります。」

 

ハソン・アラの属する組合の利益は、組合員間で均等に分配されます。 4年間で利益が着実に伸び、家を建て、6人の子どもたちの教育費を支払い、成長した子どもたちの結婚支援もできるようになりました。

「子どもたちが家で勉強できるように、机と椅子も購入しました。」

 

現在、ハソン・アラは家族の稼ぎ頭であり、子どもたちを養うために参加していた国連WFPの食料支援からは卒業しています。彼女の夫は、彼女の農場を手伝っています。

 

しかし、過去4年間で彼女の人生を変えたのは、経済的自立の拡大だけではありません。新たな手法を学び、事業で成功を収めることで、彼女の自信に繋がりました。彼女は地域の話し合いを主導し、他の女性たちに質の高い栄養と、貯蓄、投資、不作等の困難な局面に直面した際に決して諦めずに健全な経済管理をすることの重要性を伝えています。

Hason Ara is seen standing up in front of other women who are sitting, she is leading a group discussion
ハソン・アラは、彼女が結成した女性農民組合との話し合いを主導し、貯蓄、投資、そして諦めないことの大切さを伝え続けています。写真: WFP/Antoine Vallas

「このプログラムで成功したことで、自分に自信がつき、多くのことに挑戦するようになりました。」と彼女は言います。 「自分が上手に事業を回すことが出来ると気づきましたし、今以上により多くのことが出来ると信じています。地域住民は私を尊敬していて、揉め事の解決のために私のもとを訪れることもよくあります。私はあらゆる問題を解決する自信と勇気があります。例えば、ある家族が結婚を支援する余裕がない場合には、その支払いのため、地域での資金調達を手伝います。同時に、児童婚を防ぐための啓発活動も行なっています。」

 

現在、ハソン・アラは、地方自治体の地域リーダーになりたいと考えています。 「私は以前にも増してより高い志を持っています。男性がいなくとも女性だけで問題解決ができると知っていますし、実は女性の方が長けているのではないかとも思っています。」

 


コックスバザールにおける食料安全保障と栄養改善を通じた生計向上プログラムは、カナダ、フランス、オランダ、イギリス、USAIDの人道支援局の寛大な支援により実施されています。2018年以降、同プログラムで45,000人のコックスバザールに暮らす女性を支援してきました。2021年には、参加女性が、野菜、果物、キノコ、漁業、家畜の飼育、養鶏、手工芸品、縫製、陶器等の幅広い事業活動を通して合計約700万米ドルの利益を生み出しました。​​

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