国連WFP事務局長がノーベル平和賞受賞で最前線のスタッフとパートナーをたたえる
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受賞は、世界的な飢餓の危機を深刻化させる要因としての紛争、気候変動、新型コロナウイルスに目を向けさせます
国連世界食糧計画(WFP)がノーベル平和賞を受賞し、10月9日発表がありました。
「現在世界で6億9,000万人にのぼる飢えた人びとの一人ひとりが、飢餓なしに平和に暮らす権利を有しています」と、国連WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は声明で述べています。
「今日ノルウェー・ノーベル賞委員会は、この困窮した人たちと、紛争の破壊的な結果に、世界的な注目を向けました」。
そして、こう付け加えています。「気候変動の衝撃と経済的な圧力によって、人々の窮状はさらに悪化しています。さらに現在、経済や地域社会に情け容赦なく悪影響を及ぼす新型コロナウイルスの世界的大流行によって、さらに数百万人の人びとが飢餓の瀬戸際に押しやられています」。
現在ニジェールに滞在しているビーズリーは、ツイッターに投稿した動画メッセージで国連WFPのスタッフに敬意を表しました。「スタッフの皆さんたちは、世界で一番困難で込み入った地域に入っていっています。戦争や紛争が起こっていようが、厳しい気候であろうが、関係ありません。本当に世界のあらゆるところです。スタッフの皆さんたちこそが、この賞を受けるにふさわしいのです」。
ビーズリーは、ノーベル平和賞は「飢餓の最前線で究極の犠牲を払ってきた私たち国連WFPチームのメンバーへの胸を刺す賛辞」であるとも付け加えました。
しかし、今回の受賞は「国連WFPだけのものではない」と、ビーズリーは述べます。「私たちは、飢餓に苦しむ人びとや脆弱な人びとを助けようとする同じ思いを持つ、各国政府、現地や国際的なNGO・NPO、個人・法人の民間部門のパートナーたちと緊密に協力しています。これらパートナーの協力がなければ、どう頑張っても私たちはだれも助けることはできませんでした」。
世界最大の人道支援機関である国連WFPは今年、新型コロナウイルスが「飢餓のパンデミック」を引き起こす恐れがあると警告を発しました。新型コロナウイルスはサプライチェーンに大きな混乱を引き起こし、生死を分ける食料支援、要員や重要な機材の輸送に支障をきたしているためです。
ローマに本部を置く国連機関である国連WFPでは、活動中の88カ国で今年末までに2億7000万人もの人びとが急激な飢餓に襲われる可能性があると発表しています。これは2019年に比べて82パーセント増の数字です。
資金不足にかかわらず、国連WFPはイエメン、南スーダン、コンゴ民主共和国などの飢餓のホットスポットで、飢きんの発生を防ぐために活動しています。これらの地域は紛争、気候変動、さらに今は新型コロナウイルスと、複数の脅威に苦しめられています。
2019年、国連WFPは過去最高の9700万人の人びとに食料を支援しました。6月には、最大で1億3800万人の人びとに届けるための49億米ドルの支援を呼びかけました。
何十もの国で飢餓と紛争が相互に状況を悪化させる様子を目撃してきた国連WFPは、平和が飢餓をなくすために重要な役割を果たすこと、そして平和を実現するための手段として食料を活用していくことを、常に訴えてきました。
2018年、国際社会は国連安保理決議第2417号を通じて初めて、飢餓と紛争とが結び付いていることをはっきり認めました。
ビーズリーは次のように付け加えています。「ノーベル平和賞は私たち全員を、いっそう熱心に、これからも人々を飢餓から救い、人々の未来を救い、そして「飢餓をゼロに」という目標の達成へと、奮い立たせるものです。」。