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ブータンの子どもの明るい未来

, WFP日本_レポート

学校給食支援で育った子どもが初の女性大臣に

ドルジ・チョデン氏は、夜明け前に起きだし、朝の寒さをものともせず、長い距離を歩いて村の学校に通っていた頃のことを忘れていません。つましい生活を送る一家に育った彼女は幼いころから、教育が自分の将来を左右することを理解していました。友人と食べる温かくておいしい給食も、学校に行き精一杯頑張って勉強をする理由の1つでした。

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ブータンの子どもたちが健康的でおいしい給食を食べています。写真:WFP/photo library

「学校給食は大好きでした。コメ、豆とジャガイモを混ぜたものに、時折大きくて平たい魚の干物も出ました。後に魚はノルウェーからきていると知りました」とチョデン氏はいいます。「あの頃は多くの家庭で、月によっては、きちんとした食事を1日3回とることができませんでした。生活に苦労している親たちにとって、教育の優先順位は決して高くありませんでした。ですから、学校で提供される食事は、私にとってもコミュニティにとっても、大変重要だったのです」

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ドルジ・チョデン氏-ブータン初の女性エンジニア

チョデン氏は高等学校を出るだけでなく大学に進学し、工学の学位を取りました。その世代の人、特に女性にとって、大変な業績です。その後、彼女は小さな内陸のブータン王国で、初の女性エンジニアになりました。そして2013年に、国王によって公共事業大臣に任命されたのです。チョデン氏はブータンで史上初の女性大臣になりました。

国連WFPは、チョデン氏も幼いころに食べていた学校給食を40年以上にわたりに支援してきました。その学校給食は2018年からブータン政府が引き継いでいます。これは、貧困国であったブータンが2023年までに低中所得国から脱することを目標にしていることにともなう、国連WFPの戦略的な移管を示しています。

ブータンの新たな国別戦略計画(2019年~2021年)に基づき、国連WFPは自らのリソースを、ブータン政府が国主導の学校給食を拡大するための能力および仕組みの構築支援に振り向けています。計画のもと、現在、学校に通う子どものほぼ半数にあたる、約75,000人の子どもたちが学校給食を食べています。近いうちに、さらに30,000人の、主に辺境地域の子どもたちが、かつてチョデン氏が食べていたような、おいしい給食とおやつを食べられることになります。

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ブータン政府は次世代の生徒たちが食べる給食の支援を行っています。写真:WFP/photo library

国連WFPはパートナーとともに、学校において適切な食生活および健康習慣を推進しています。これは炭水化物、脂質および塩分が高く、たんぱく質、野菜および果物が少ない伝統的な食習慣を変える挑戦です。チョデン氏と同じく学校給食支援を受けた多くのブータンのリーダーたちは、国連WFPが導入した先進的なツールを採用しています。ツールの1つとして、子どもたちが楽しく栄養について学ぶためのオンラインゲームもあります。また、学校給食のコストを下げ、地産地消を促すメニューをオンラインで作成する仕組みもあります。さらに、必要とされているデータを生成し、食の多様性を推進するためのリアルタイムのオンラインモニタリング・報告システムも使用されています。

「ブータンの子どもたちにとってのより明るい未来が、ついに手の届くところまできました」とチョデン氏は言います。「国連WFPおよびそのサポーターによる惜しみのない投資の結果、教育によって私や、その他の何万人もの子どもの人生が変わりました。そのため、国連WFPの学校給食はいつまでも私の心に残り続けます」

(クン・リー)