Skip to main content

ブルキナファソの危険な綱渡り

, WFP日本_レポート

国連WFPの緊急支援対応が増加する中、アフリカのサヘル地帯の一角が、これまでに得られたレジリエンス支援の成果をどのように守っているかをお伝えします。

0*hSvs0SlU09AVL-ru.jpeg

ブルキナファソで豊作を願って畑を耕す女性たち。 Photo: WFP/George Fominyen

「この村に到着した時、私たちはどこで寝たらよいかも分かりませんでしたが、村長が滞在を許可してくれました」と、タッセレ・サワドゴは言います。彼と家族は、強制退去にあう前、ブルキナファソ北西部のダブロ村で静かに暮らしていました。

武力衝突が、西はセネガルから、アフリカ東部のスーダンにわたる広大なサヘル地帯で激化しています。ブルキナファソの安全保障は深刻な状況にあり、これまでに国連WFPが積み上げてきた多くの成果がかき消されてしまう恐れがあります。

今年9月9日に国連WFPは、ブルキナファソとマリ、ニジェールを含む中央サヘル地域の緊急対応について最高レベルの支援を発令しました。6月から始まったリーン・シーズン(収穫期直前の最も食料が足りなくなる時期)や干ばつ、そして武力衝突により、3ヵ国で510万人以上の人々が緊急支援を必要とする状況に追い込まれました。うち130万人以上がブルキナファソの人々です。

0*nMmyoDPBVaKeZ2oa.jpeg
0*imd_vzafiPo4XLfI.jpeg

皆で協力:ビッシングウィン地区でプロジェクト参加者と国連WFP事務局長のディビッド・ビーズリー。 Photos: WFP/George Fominyen

この国では襲撃や殺害、誘拐が日常化しており、28万人以上が避難民となっています。また北部と東部の州およびマリの国境沿いの地域では、人道支援を受けることが困難です。

0*DIzjavt_hbn-VhEs.jpeg

かつて荒廃していた土地に芽吹くトウモロコシ。 Photo: WFP/George Fominyen

「私たちは現在、12万人の避難民を支援しています」と、国連WFPブルキナファソのカントリー・ディレクター、ディビッド・ブルマンは言います。「2019年末までに支援対象者を少なくとも21万人に広げつつありますが、避難民の数は増加の一途をたどっています」

国連WFPは、これまでのレジリエンス支援(持続可能な発展に向けた女性や若者の雇用支援、生態系の保全など)で得られた成果を守る一方、拡大し続ける人道支援のニーズに応えねばならないという困難に直面しています。

増加する人道支援の需要に対応すると共にレジリエンス支援の成果を守るためには、国連WFPの支援チームは創造的な解決方法が必要です。その一例が、ブルキナファソ首都の中央北部の町、カヤから南西約15kmに位置するビッシングウィン地区における、タッセレや家族のような避難民を、地域の人々と融合させる取り組みです。

0*ruJ5jYfhqLu6iCTn.jpeg

半月型の貯水池は、雨水を貯め、土壌の改良を助けます。Photo: WFP/Esther Ouoba

ビッシングウィン地区の人々は、避難民である他の21世帯とともに再生されている土地の一部で、トウモロコシやササゲ、その他の野菜を栽培し、国連WFPから労働の対価として食料を受け取りました。

「種まきはもう完了したので、無事育つように祈っています。収穫によって私たちの生活は良くなると思います」とタッセレは話しました。

8月のある暑い日、国連WFP事務局長ディビッド・ビーズリーはビッシングウィン地区を視察し、広大なコミュニティの敷地で男性たち、女性たちが懸命に土地を耕し、種を蒔き、草取りをする姿を目にしました。トウモロコシやササゲが芽吹いている光景に笑顔も見られました。

「この土地はとても硬くてこれまでは何も植えられませんでした」と、ラスマタ・サワドゴは言います。「今は作物を育てることができて、皆、とても幸せを感じています」とキビを収穫しながら彼女は話しました。

ラスマタと彼女の家族は、コミュニティの1,000人のメンバーとともに、国連WFPと国連WFPのパートナー団体、政府と共働し、約85ヘクタールの荒廃した土地の再生のため、ハーフムーンと呼ばれる技術などを活用しています。

降雨量が安定しない地域でハーフムーンは水を貯える役割を果たします。雨季にあまり雨が降らなくても、浸み込んでくる少量の雨水を集め、作物の発芽を促します。

これは支援の一つとして実施されたもので、コミュニティの住民は収穫の増量のための農地再生の取り組みに参加し、労働の対価としての食料を受け取りました。昨年ブルキナファソでは、1,424ヘクタールの荒廃した土地が再生され、3,000立方メートルの10ヶ所の人工池がコミュニティのために建設されました。

国連WFPはコミュニティの設備の建設や教育の促進、栄養および健康状態の改善、若者の雇用創出に投資するべく、レジリエンス支援を拡大しています。この活動は、2023年まで、サヘル地帯にある5ヵ国(ブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェール)の800のコミュニティに住む200万人を支援することを目指しています。

国連WFP事務局長ディビッド・ビーズリーはこう述べています。「私たちが実現したいのはプロジェクトの成功と持続、困難な状況における回復力です。数年後には国連WFPのサポートがなくとも、人々は力をつけて自ら生活を営んでいけるようになるでしょう」

しかしながら、国連WFPの取り組みにより得られたプロジェクトの成功と持続、回復力は、武力衝突の続くこの国では中断されうる危険を伴っています。