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あらゆる困難を乗り越え確かに届ける

, WFP日本_レポート

ビジネスの世界で言われる「革新か死か」というスローガンは、人道支援の世界においては全くの新しい次元で用いられています。何百万もの人々を紛争、自然災害、気候変動、そして貧困と飢餓による死から救うために、国連WFPのような組織にとって、「革新」は不可欠です。国連WFPはハイテクな革新から、より伝統的な手段まで、5つの解決策を有し、また、試しています。

世界の飢餓に苦しむ人々は、しばしば、支援を届けることが困難な遠隔地に暮らしています。その様な人々に物資を届けるために、国連WFPは「SHERP(シャープ)」と呼ばれる新型の、水陸両用・全地形対応型車両の使用を試しています。

SHERPは、1トンの荷物を積み込むことができ、非常に燃費がよく、満タンで約500–600キロを走ることができます。SHERPの使用によって、従来、空路でなければ到達することができない遠隔地にも食料が届けられるようになり、ヘリコプターによる空中投下が1トンあたり、2,400米ドルの費用がかかっていたのに対し、450米ドルまで大幅に費用を削減することができます。

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SHERPはすべての種類の地形に対応し、水に浮くこともできます。Photo: WFP/Hugh Rutherford

2.空からの食料―空中投下

地上からアクセスする手段がすべて不可能な時、国連WFPは空から接近する手段を取ります。昨年のシリア・デリゾール市における包囲攻撃の間、国連WFPの空中投下は、市中に囚われた人々にとって唯一アクセス可能なライフラインでした。

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地上300メートルの高さから、植物油を梱包した箱がゆっくりと投下されていきます。Photo: WFP/Peter Smerdon

3.革新的な伝統的手法―河川及び山路を通じた輸送

革新は必ずしもハイテクとイコールではありません。しばしば、伝統的な方法こそが、複雑な輸送シナリオに対する正しい答えを与えてくれることもあります。

南スーダンにおいて、国連WFPは、空中投下による費用削減を目指して、陸路が断たれた地域に対する輸送手段として、河川を通じた輸送を再開しました。

また、ネパールにおいて、2015年の4月、5月と立て続いた地震が発生した際、国連WFPは伝統的な輸送手段、山路を補修し、ラバや現地の山岳ポーターを雇うという手段を用いました。

4.きれいな水が行く―移動式浄水ユニット

支援を必要とする人々が比較的アクセスしやすい場所にいたとしても、他の要素が支援の有効性を損なうことがあり得ます。例えば、栄養のある食べ物を混ぜるためにはきれいな飲料水の確保が必須です。

2018年、国連WFPは、ウガンダ北部、アルバート湖の岸辺に所在するキャングワリ難民居住区において浄水トラックの使用を試みました。このトラックは、湖や海などの複数の水源から水を引いてきて、一時間当たり1万5,000リットルの安全な飲料水を作り出すことができます。

5.ベストの選択を行う、常に―「オプティマス」

国連WFPは日々多くの決断を行います。食料と現金、支援を行うにはどちらの形が望ましいのか、支援対象者に届ける食料は何を選ぶべきなのか。どこで食料を購入し、どのようにして輸送すべきか。これには複数の情報ソースから得られる複雑なデータ分析が必要とされます。

これらのプロセスを円滑化するために、国連WFPはオランダのティルバーグ大学、米国のジョージア工科大学とチームを組んでいます。その成果が、「オプティマス(Optimus)」です。これは、国連WFPのプログラムのゴールを達成するために最適な支援食料の内容、調達方法及び配送戦略を導き出すためのデータ処理を行うツールです。

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オプティマスは、関連するすべての要素を考慮に入れることにより、国連WFPの食料バスケットの構成を決めるにあたって、ベストの決定を行うことを補助します。Photo: WFP/Rein Skullerud

紛争や気候変動、自然災害により、人道的支援の必要性が急速に高まる一方で、利用可能な資源は縮小し続けます。飢餓との闘いにおいて、国連WFPの持つ革新力は、これまで以上に重要な役割を持つこととなります。国連WFPと世界とが取り組む闘いは負けることが許されません。

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