47歳の母、物乞いで8人の子養う
「子どもたちに食べさせるために、50歳近くにもなって物乞いをすることほど、辛いことはありません。何も望まないけれど、ただ安心して食料が手に入る場所で、まともな暮らしがしたいだけなのです」
破壊的な紛争が続くイエメン。8人の子どもの母である47歳のアイシャ・クダフは、こう嘆きます。
「経済危機によって、子どもが2人しかいない親たちでさえ苦しんでいます。私のように8人もいれば、なおさらです」そう付け加えました。
アイシャの家族はアデン州のダーサッド地区で、悲惨な状況で暮らしています。アイシャの夫は掃除夫として働いていて、1日に1,333イエメンリアル(5米ドル)を受け取ります。収入があまりに少ないため、アイシャは通りでお金を恵んでもらうしかありませんでした。
紛争は国の経済に打撃を与えています。物価は急騰し、イエメンリアルの通貨価値は下落しました。
紛争前から弱い立場にある多くの家族は、これによってさらに厳しい状況へと追い込まれています。
「私たちの生活は惨めで、まるで地獄のように変わってしまいました。イエメンリアルの通貨価値が下がり、同時に食料の値段は上がっています。夫の収入では足りなくなってしまいました。きれいな水を手にいれることもできません。停電も数時間続いています」
ダーサッド地区には、国内避難民がたくさんいます。3年を超える紛争のため、近隣州からアデン州に逃げてきたのです。
支援で尊厳を取り戻す
国連WFPの食料支援を受け取るようになり、アイシャはかすかな希望を見いだしました。
「配給を受けた時、私は涙を流して喜びました。もうお金を乞わなくてもいいからです。私たちの生活は変わりました」
食料配給は、現地調査によって支援が必要だと判断され、氏名を登録された人びとを対象に実施されます。対象となる家庭は小麦と食用油、豆類、塩が入った食料を受け取ります。
イエメンでは国民の3分の2に当たる約1800万人が、食料不足に陥っています。国連WFPが毎月食料支援を実施しているのは、このうち約700万人にとどまります。
アイシャは、「食べ物を必要とするすべての人たちに、支援が定期的に行き渡るようになってほしい」と望んでいます。