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2019年、気候変動による災害とWFPの対応策を振り返る

, WFP日本_レポート

世界中で、危機的災害がより頻繁に集中的に起きており、それに合わせて、国連WFPによる災害の予測と抑制・対応策もより高度なものとなってきています。

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気候変動による惨事は1億人もの人々を飢餓に陥れ、子どもたちの栄養不良のリスクを高めている。Photo: WFP/Alexis Masciarelli

記録的な猛暑、干ばつ、洪水、暴風等の気候に関する大惨事は、1990年代初頭より倍増しています。1億人を深刻な食料不足に至らしめた気候変動は、紛争と共に飢餓の主な要因として考えられています。2019年上半期において、気候がもたらす大惨事により700万人が自国から追いやられました。予測が正しければ、2019年はこのような強制退去に関して、最悪の年の一つとなると考えられています。WFPは、2019年に世界各国で気候変動の影響を受けた何万人もの人々への支援を呼びかけています。

サイクロン・イダイ&ケネス―モザンビーク

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サイクロン・イダイの豪雨がもたらした洪水の被害を受けたエリアはまるで内海のようである。Photo: WFP/Marco Frattini

先例のない勢力と豪雨でもって、サイクロン・イダイは3月、アフリカ南部を直撃し、甚大な被害をもたらしました。結果、モザンビークだけでも180万人が人道支援を必要としました。WFPチームは直ちに現場に急行し、孤立した地域に立ち往生していた人々の救護活動を支援し、栄養強化食品を配給しました。また、国連WFPは栄養支援や食料もしくは食料購入のための現金支援を行い、160万人を支えました。更に、人道支援に必要不可欠である通信網の復旧も行いました。

サイクロン・イダイより1カ月強後にはサイクロン・ケネスがモザンビークを直撃し、WFPは23万人に対して支援を行いました。

長引く干ばつと豪雨―中央アメリカ

5年間続く干ばつと断続的に起こる豪雨は、中米の乾燥地帯(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア等)に暮らす農家を苦しめています。トウモロコシや豆等の主要産物は非常に気候の影響を受けやすく、2018~2019年の収穫時に220万人が作物を失いました。10人中8人が農業用品や家畜を売り渡すこととなり、食事を取れない又は満足な栄養を摂取出来ない状況となりました。140万もの人々が次の収穫時期までこういった状況であり、成長に必要な栄養を摂取出来ない子どもたちが最も深刻な立場に置かれています。

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干ばつが伝統的な主要産物を枯らす一方で、WFPは農家による生産物の多様化を支援している。Photos: WFP/Sabrina Quezada (上); WFP/Rocío Franco (下)

国連WFPは、不作で影響を受けた家族への支援だけでなく、地域の活性化を図るべく、コミュニティ菜園や水耕栽培、灌漑設備等の構築と改良に尽力しています。他に、新たなスキルを使った生計手段の多様化や強化型農業生産に向けたトレーニングや支援の場を提供しています。

「もう国を追い出されるのはこりごりだ。この国から出て行きたくない。自分のお金はこの国で稼ぎたい。」ホンジュラスの先住民・レンカ族のひとりであるモイセ・リヴェラさんは語ります。モイセさんは過去に職を探すために隣国のエルサルバドルに移住しなければなりませんでしたが、WFPの支援のおかげで今は伝統的な陶磁器を作って生計を立てています。

モンスーン豪雨―バングラデシュ

700もの河川の源流があるバングラデシュは益々気候変動の影響を受けています。7月には、豪雨が64地域の内、20地域の家屋を破壊し、230万人の生活に打撃を与えました。

4,500もの家族がWFPとバングラデシュ政府による事前措置によって洪水被害を抑えることが出来ました。自然災害が予測出来るまたは限界レベルを超えた場合は、影響を受けやすい地域の住民に現金支援等の事前措置を行い、災害規模の縮小と対応に係るコストの削減を図っています。

このような革新的リスクマネジメントアプローチ(Forecast-based Financing/予測に基づく財政システム)によって、各家族は53米ドルの支援を受け、家を補強したり、食料や洪水対策用品等を購入したりし、また必要であれば避難しました。さらに、国連WFPは3つの北部の地域において、25万人への食料支援も行っています。

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天気予報に基づいた事前措置によって、天災の被害を最小限に食い止めることが出来る。Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

「悲しみに打ちひしがれても、私たちは幸せです。お金が私を救ってくれました。」村人のサレハ・ベガムさんは言いました。「洪水が起きた時に食べることができるよう、お米にレンズ豆、乾物を買いました。それから、私財を貯蔵するボートを借りて、オーブンを使って家族に料理をしてあげました。」

干ばつ―エチオピア

長引く干ばつは、エチオピアのソマリ地方における牧畜業者に深刻な被害をもたらしています。広がる家畜の死亡と食料不足は、貧しい人々の生活を悪化させ、およそ180万が食料支援を必要とする状況にあります。

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長期の干ばつが家畜を死亡させ、牧畜業者の生計を不安定にし、飢餓と栄養不足の温床となっている。Photo: WFP/Peter Smerdon

干ばつの影響を軽減するべく、WFPは革新的な保険プログラムを実行しています。エチオピアの牧畜業者のための「衛星指数保険(Satellite Index Insurance)」は、最先端の衛星技術を使って提供可能な飼料の量を測定し、大規模な干ばつが起こった際に家畜を生存させることを目的とする。2018年に導入された際には、ソマリ地方において、5,000人の牧畜業者がこの保険制度に登録し、2019年には7,800人に登録者数が増えました。続く干ばつによって家畜用の飼料と野菜が不足しているため、最初の支払いは今年の予定です。

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