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17歳でエベレストに登頂!二ムドマ・シェルパさん

17歳でエベレストに登頂!二ムドマ・シェルパさん
, WFP日本_レポート

国連WFPの「学校給食プログラム」への支援を呼びかける公共広告「給食でエベレスト」が、公益社団法人ACジャパンの2013年度支援キャンペーンとして、2013年7月1日より2014年6月30日までの1年間、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌や交通広告を通じて全国展開されています。本広告では、子どものころ国連WFPの給食を食べて育ち、2008年に17歳でエベレスト登頂を果たしたネパール人女性の登山家、二ムドマ・シェルパさんが主人公として登場しています。その二ムドマさんが、本キャンペーンの開始を機に初来日しました。学校給食の希望のシンボル、二ムドマさんをご紹介します!

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プロフィール
現在22歳。ネパール北東部の貧しい農村地区で生まれ、国連WFPの給食支援を受けながら、学ぶことの喜びを知りました。2008年5月に、ネパールの女性登山隊の一員として世界最高峰を登頂。エベレスト登頂後は、世界7大陸最高峰踏破を目指す女性登山隊「7サミットウーマンチーム」に所属し、登山家として活躍する傍ら、チームと共に学校を訪れ、子どもたちに自らの経験や教育の大切さを伝えています。

来日中に出会った日本のヒーロー 三浦雄一郎さん

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来日の折には、史上最高齢の80歳で3度目のエベレスト登頂に成功した、三浦雄一郎さんにお時間をいただきました。
行動する知識人としても国際的に活躍される三浦さんは、日本のヒーローであり、二ムドマさんも三浦さんに会えたことを大変喜びました。
世界的記録を次々に樹立する三浦さんは、食べることによる生命の大切さを知る一人。国連WFPの学校給食についても関心を持ってくださいました。
「あきらめずに一歩ずつ進んでいけば、夢は叶う。」と語る三浦さん。二ムドマさんも「夢に向かって一歩一歩、一生懸命がんばれば不可能なものはない。」と言います。
実際に夢を叶えた、三浦さん、二ムドマさんの言葉には強い力があります。

野口健さん スペシャルインタビュー

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ニムドマさんは、日本を代表するアルピニストの野口健さんに会うことができました。野口さんはエベレスト清掃登山などさまざまな社会貢献活動で知られており、ネパールでも現地の子どものための学校建設などに取り組んでいます。初対面の二人でしたが、ニムドマさんは以前より野口さんのことを知人などからよく聞いており、話が弾みました。

−ニムドマさんは登山経験がなかったのにエベレストに挑戦し、1年の訓練の後に見事エベレスト登頂を果たしました。野口さんからご覧になっていかがですか?

野口 「身体能力が相当すごいですね。ニムドマさんはもともと山岳地域ご出身なので、基本的にたくさん歩いたり体を動かしたりしていたと思うけれど、それにしてもすごいですよね。それにヒマラヤ登山は体力だけじゃなくていろんなものが求められるんです。プレッシャーもあるだろうし、柔軟性や切り替えが大事なんですよ。だから17歳で登ったというのはなかなかすごいことですよね。」

−お二人とも16歳で登山を始めています。何がきっかけだったのでしょうか?

野口 「僕は高校時代、いろいろあって停学中だったときに植村直己さんの本と出会ったのがきっかけです。就職も思い通りにならず放浪の旅に出た植村さんと、停学で落ちるところまで落ちた自分が重なって…。植村さんが地味にコツコツ積み重ねてエベレストや五大陸最高峰登頂などを達成された姿にものすごく共感しました。」

ニムドマ 「私は小さいころから人と違うなにか大きなこと、特別なことをやってみたいと思っていました。でもそれが何なのかわかりませんでした。16歳の時、自宅で雑談をしていた兄と友人にお茶を出した際に、『エベレストに登る女性登山隊メンバーを探している』という話を小耳にはさみました。その時、『これだ!』と思ってすぐに応募したんです。応募した後で兄にそのことを伝えると、『死にたいのか!』と猛烈に反対されました。ネパールは男性優位の社会で、女性は弱い存在だと思われており登山家も多くありません。エベレスト登山は精神的にも肉体的にもとても難しいと聞いていたので、なおさら挑戦したくなったのです。」

−登るときはどんなお気持ちでしたか?

野口 「登山を始めたころはなんのために登っているのかわからなくて…山を登りながら何かを探していくという感じでした。」

ニムドマ 「登山の間は、一歩一歩ものすごく集中して進むので、まるで瞑想しているような平和なエネルギーを感じました。ネパールではエベレストは神様として信仰されているので、『これからあなたのもとに参ります』と毎日祈っていました。」

−お二人ともネパールで社会貢献活動に取り組んでいますが、現地の人々はどんな環境におかれていますか。

ニムドマ 「ネパールでは都市と農村部の格差が深刻です。農村部では道路や病院などのインフラや、基本的な社会サービスすらないところが非常に多いです。農業で生計を立てている人が多いですが、灌漑設備や質のいい肥料も手に入らないし、食糧は慢性的に足りない状況です。もちろん質の良い教育も受けられません。私も子どものころは、食糧不足の時期には葉っぱを食べたりしましたし、村には小学校が一つあるだけでした。特に女の子は教育の機会も少なく、早く結婚して子どもを産んで、というのが当たり前になっています。」

野口 「僕はマナスル山麓にあるサマ村というところで学校をつくっています。問題は、地元の人たちが様々な知識を持っていないところだと思います。たとえば、いつも食べているものが同じで偏っていて、栄養バランスの知識がありません。もっと挑戦すればほかの野菜もいろいろつくれるのに、なかなかそうならない。新しいことを取り入れるきっかけがないのです。でもノウハウや技術が伝われば、可能性が広がると思います。
学校建設にしても、最初は村人が『子どもは貴重な労働力なのに持って行かれる』という理由で反対されました。でも、村人が理解しないのでは意味がないので、4年かけて通いました。何度も通ううちに理解してもらえるようになって、一緒に学校建設に取り組めるようになりました。彼らが自分でできないことは支援して、できるところは自分たちでやり、持続してもらうということが大事だと思っています。」

−学校に行くことで子どもたちの可能性が広がりますね。

野口 「そうなんです。サマ村の学校に通う子どもは大半が寮に住んでいるので、学校に行けば食べられるという理由で来ている子どもも多いです。食べるってことは非常に大事です。給食を通じて子どもたちは食べることの意味を理解しますし、また子どもたちを通じて大人たちに栄養の知識も広がります。
それから、学校で本を読むことで自分の世界が広がります。僕が最初に学校をつくろうと思ったきっかけは、子ども達に「将来の夢は?」と聞いたら「夢」の意味が伝わらなかったことなんです。通訳をしていたシェルパに、「子ども達はこの村以外の世界を知らないから、『夢』という考え方がわからない」と言われ、ハッとしました。
僕自身が夢を抱いたきっかけは、読書なんですよ。『ドリトル先生航海記』とかを呼んでイメージが膨らみました。だからね、このサマ村の学校には図書館をつくりたいです。子どもたちにはたくさん本を読んでわくわくしてほしいです。」

ニムドマ 「私は学校で学ばなかったら今日ここにいません。でも、すべての子ども、すべての女性には夢があると思うのです。夢は、強く願って、できる限りの努力をすればきっとかないます。だからネパール国内の150を超える小学校を訪問して、自分の経験を伝え、先生や親御さんたち、子ども達に教育の重要性を伝えています。子どもたちや女性たちにも夢をかなえてほしいと思います。」

−野口さん、ニムドマさんへのメッセージをお願いします。

野口 「ニムドマさん自分が生き生きしていることが一番大事ですよね。使命感を持ってやることは大事なんだけど、それだけではなかなか続かない。自分のために、自分の夢を追い続けることが、結果的に社会にとってもプラスになると思います。」

−最後に、読者の皆さんへのメッセージもお願いします。

野口 「僕もいろいろな活動をしていて、時には支援もします。それに対して、『いいことをしていますね』などと言われるのですが、これは人のためにしているようでいて、実はそういうことに関わっている自分自身も得るものがあるんです。たとえば、学校をつくったことで、出会いがあり、子どもたちも大人たちも変わってきた。最初は反対にあった学校も、今はもっと大きくしてくれと言われています。
支援って一方的なものではなく、自分が関わることによって自分の中での変化もあるし、感じることや得るものも多いです。そういうほうが長く続くんですよね。」

ACジャパンの支援キャンペーン広告「給食でエベレスト」は、ネパール西部バジャン郡ディープジョッティー小学校で撮影されました。ネパールでは、4人に1人が1日60円足らずで生活し、450万人が栄養不足に苦しんでいます。特にバジャン郡のような農作条件に恵まれない山岳地域は、しばしば食糧難に見舞われます。その結果、5歳未満の子どもの6割以上が慢性的な栄養不良で、5歳未満の3割が低体重の子どもたちです。国連WFPは、ディープジョッティー小学校で30人の未就学児を含む107人の子どもたちに給食を配給しています。配給しているのは、小麦と大豆にビタミンとミネラルを添加した混合粉に砂糖と植物油を加えてつくった、「ハルワ」と呼ばれる温かいおかゆです。子どもたちにとって、国連WFPの給食はまさに命綱となっています。CMでは見られない撮影風景をご覧ください。

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