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国連WFPの活動は、従来の人道支援としてイメージされがちな、遠隔地から空輸した食料を提供するだけではありません。食料、物品およびサービスの調達コスト(35億米ドル)の60%以上は、現地で使われています。

マリとスーダンで配るソルガム、コンゴ民主共和国のモロコシからダルフールの大型輸送契約まで、国連WFPは可能な限り「現地調達」するか、少なくとも地域調達でしています。国連WFPは、アフリカ最大の主食作物の買い手として、小規模農家からの購入も増えています。(2018年は3,100万米ドル)

緊急事態の際も、国連WFPは現地調達を進め、地元経済を支援しています。シリアでは、紛争下でも支援事業に必要な塩をすべて国内生産者から購入し、国際調達基準(international procurement standards)に合うよう生産者の品質向上に力を貸しました。

国連WFPは飢餓撲滅の使命を果たすため、毎年250万トン(2018年は360万トン)を超える食料品-主に穀物、豆類および栄養強化食品-を購入するのに、10億米ドル以上を支出しています。また現金・電子マネー・食料引換券を使った食料支援では、約7億米ドル相当額が現地市場で使われています。

こうした食料を届けるためには、燃料から車両・予備の部品、ICT 装置・サービス、一時的または恒久的なインフラ、倉庫、保険まで、膨大な物品やサービスを調達する必要もあります。

質の高い食品の安定供給を確保し、最小のコストで期日通り納品するため、国連WFPは経済や事業運営、調達や市場情報分析の専門家を擁しています。彼らは、12カ月先の需要を見越して、最も効果的な供給戦略を策定します。

季節や市場情報、そして最善の契約形態を選ぶことで、資金的な余裕が生まれ、支援できる人の数を増やすことができます。穀物などは収穫シーズン直後、供給量が増えて価格が下がります。こうした時期に大量購入の契約を結ぶことで価格を抑え、良質な食料を安く調達することができます

調達分野における国連WFPの経験とノウハウは、自らの事業の柱である食料支援にとどまらず、他の人道支援団体や民間組織、政府などの物流やセーフティネットの構築にも役立ってます。他団体や政府への支援を通じて、国連WFPが単体で支援するよりもはるかに大勢の食料不安の解消に貢献しています。