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中央アフリカ共和国の“忘れられた危機”が“見捨てられた惨事”にならないように

中央アフリカ共和国の“忘れられた危機”が“見捨てられた惨事”にならないように
中央アフリカ共和国・バンギ発アーサリン・カズン国連WFP事務局長は19日、紛争により深刻な飢餓が拡がる中央アフリカ共和国を訪れました。暴力の深刻化に加え、人道支援のための活動資金が不足する致命的な事態を踏まえ、「避難生活を送っている人だけでなく、国民全体が危機的な食糧不足に陥っています。雨期がこの惨状を悪化させる前になんとしても手を打たなければいけません」と述べました。

カズン事務局長はまた、「支援が間に合わず、子どもたちが骨と皮だけにやせ細るような状況は絶対に避けなければなりません」と強調しました。

カズン事務局長は国連WFPが国連食糧農業機関(FAO)と共同で行った作物の種と食糧の配給に参加し、「4月から始まる作付の時期に作付ができないと、今年の収穫がゼロになってしまいます。食糧が尽きて、生きるために人々が種を食べざるを得ない状況に追い込まれないよう、食糧を配布していかなければいけません」と食糧支援の重要性について述べました。

物資輸送と治安上の問題と闘いながら、国連WFPは今年は毎月、中央アフリカ共和国の25万人以上に、栄養強化食品などの食糧支援をしてきました。しかし、あまりに大規模で深刻な飢餓は国際社会のさらなる応援を必要としています。今後数週間は、雨期のため、道路の大部分が通行できなくなってしまいます。雨はさらに、衛生状態の悪い避難民キャンプでの下痢と病気の蔓延リスクも高めます。

「多くの人々から忘れられたこの危機が、“見捨てられた惨事“にならないよう、状況を打開していかなければなりません」とカズン事務局長は述べました。

現在、8月までの中央アフリカ共和国支援に必要な資金のうち確保できたのは35%にすぎません。国連WFPは、雨期や、食糧の備蓄が底を尽く時期に備えて、食糧の事前備蓄を進める計画でしたが、それができない状況となっています。

治安の悪化も支援の難しさに拍車をかけています。隣国カメルーンから中央アフリカ共和国への陸路での物資輸送は治安悪化のため難航し、国連WFPはやむを得ず食糧の空輸を行いました。アフリカ主導の国際支援ミッションの護衛がつくようになったおかげで陸路での輸送を再開したものの、治安がまた悪化すれば、いつ中止に追い込まれるか分かりません。

「治安の悪化は大きな懸案です。中央アフリカ共和国政府が暴力の連鎖を食い止められるよう、国際社会は歩み寄らなければなりません」とカズン事務局長は呼びかけました。

中央アフリカ共和国での惨事は近隣国にも大きな影響を及ぼしています。29万人以上が隣接するチャド、コンゴ民主共和国、カメルーン、コンゴ共和国に逃げ出しました。

国連WFPと他の人道支援機関は、中央アフリカ共和国支援のための資金が不足しています。今後、新たな資金が確保できなければ、チャドとコンゴ民主共和国での食糧支援に悪影響が出る恐れがあります。