現地報告会「国連WFPの食糧支援~エチオピア・ネパールの現場から~」
紛争により多くの難民が出た時。洪水でたくさんの家が押し流された時。こんな時まず直面するのは、食べるものがないという問題です。国連WFPは緊急事態が起き、現地政府から支援要請があると、直ちに職員を派遣し、食糧支援を開始します。
自然災害や貧困で苦しむエチオピアで3年間、ネパールでは実際に大震災発生直後の緊急支援で4カ月間、国連WFPの食糧支援に携わった上野さん。国連WFPの活動現場についてお聞きいただける貴重な機会となります。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
<開催報告>
2016年2月27日(土)、国連WFPで支援調整官として5年間働き、現在はジャーナリストの上野きよりさんに、3年間活動されたエチオピアでの経験やネパール緊急支援についてお話しいただきました。
上野さんは、緊急支援に際して急ピッチで支援拠点を設置し、学校給食支援ではデータや調査に基づき効果的な支援を実施するなど、具体的な例を交えつつ、現地の状況や国連WFPの活動内容を伝えました。
多くの方が来場された中、今回は参加者として来場していた元国連WFPアジア地域局長の忍足謙朗さんも聴講側から飛び入り参加。
「今、最も危機感を持っている国は?」との質問に対し、忍足さんは「一番心が痛いのはシリア等の紛争地」、上野さんは「支援活動が長期間続き、“援助疲れ”によって後回しにされてしまうエチオピア等の国も忘れないでいただければ」と訴えました。
「どうすればもっと支援が集まると思うか?」という質問に対してはお二人とも、「何より世界の現状や、不公平が存在する事を知ってもらうのが最も重要」と答えました。
参加者の方からのコメント:
- 国連WFPについて予備知識が無いままの参加だったが、興味深い報告だった。大学生なので、これからの方向性を考えるきっかけにもなった。
- 国連WFPの活動のみならず、支援調整官や国際機関を目指す際のアピールできるスキル、メディアや広報との関連を伺うことができ、勉強になった。
- 教育の重要性を認識、自分と違う環境、場所が世界にあるということに気付いた。
- 食糧支援は根本的解決手段でないイメージがあり、あまり必要性が分かっていなかったが、現状を知ることで、やらなければならないことだと分かった。
<開催概要>
主催:認定NPO法人国連WFP協会
日時: 2016年2月27日(土) 13:30~15:00(13:00受付開始)
場所: JICA横浜 4F いちょう/やまゆり(〒231-0001 神奈川県横浜市中区新港2-3-1)
参加費: 無料
定員: 70名
締切: 定員になり次第締切
<上野きよりさんプロフィール>
米国ブルームバーグ・ニュース東京支局、信濃毎日新聞社などで記者として、社会問題、国際情勢、ビジネスなど幅広いジャンルで経験を積む。2010年から5年間、国連WFPのローマ本部、エチオピア、ネパールで支援調整官として勤務。本経験を活かし、2016年よりフリージャーナリストとして活躍。慶應義塾大学文学部卒業。米国コロンビア大学国際関係・公共政策大学院修士課程修了(国際関係修士)。