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WFPシーラ・シスル事務局次長来日女性に対する暴力廃絶を訴える (和文)

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横浜発 –WFP 国連世界食糧計画シーラ・シスル事務局次長は、4日間の訪日の最終日となる8日、東京の国連大学で開催された「国際女性の日2007公開フォーラム」に出席し、今年の「国際女性の日」のテーマ、「女性と女児への暴力に終止符を」に関する基調講演を行った。

シスル氏は、同大学のウ・タントホールを埋めた聴衆に対し、WFPがいかに食糧援助を通じて女性に対する暴力廃絶や女性の地位向上を達成しようとしているかについて語った。

「女性の3人に1人は、人生のどこかの時点で身体的あるいは性的暴力を受けています。地雷を処理するには信管を外せばいい。銃を使えなくするには、銃弾を抜けばいい。では、女性に対する暴力を根絶するには?そのためには、それぞれのケースについて個別に原因を探り、一つ一つ解決し、廃絶していかなければなりません。」とシスルは訴えた。

シスル氏は、女性にさまざまな恩恵をもたらしている、あるWFPの事業例について説明した。スーダン西部のダルフール地方では、女性は薪を集めるためにキャンプから遠出をしなければならず、性的暴行を受ける危険性がとても高くなっている。このため、WFPは高効率コンロの作り方を女性たちに教えるプロジェクトを始めた。このコンロを使うと、使用する薪の量を4割減らすことができる。女性は薪を集めに行く回数を減らすことができ、これにともなって労働量も、性的暴行を受ける危険性も大幅に削減することができた。WFPは当初、このコンロの作り方を30人に教えたが、その30人が別の4400人の女性たちに作り方を教え、広めた。

シスル氏はまた、女性に対する暴力を廃絶するためには男女間のパートナーシップが重要であると強調した。サハラ砂漠以南のアフリカでは、HIVウイルスに感染している人の58パーセントが女性だ。性的暴力や性的搾取の結果感染した女性も多い。男性が認識を高め、女性に対してより支援を行っていくよう、WFPはサハラ砂漠以南のアフリカ中の国で性教育活動に男性を登用している。例えば、エチオピアではWFPが支援するHIV/エイズ予防教育の講師の60パーセントが男性だ。彼らは地域の他の男性たちのよき手本となっている。


シスル氏はさらに、女性の地位向上と女性に対する暴力廃絶のためには、教育が最も効果的であると指摘し、教育の重要性を強調した。世界で学校に通っていない子どもたちは1億人にのぼり、その3分の2が女児である。WFPは学校で給食を提供することにより、これらの子どもたちに必要な栄養と安全な場所を提供すると同時に、彼らの将来の機会を拡げている。

「新しい千年紀に入り7年経ちました。これまでに数多くの人々や組織が、女性の安全と地位向上を確立するために力を尽くしてきましたが、女性と子どもに対する暴力が未だにはびこっているのが現状です。援助してくださる方たちや国のご支援のもと、WFPは世界中の飢餓に苦しむ弱い立場の女性たちに食糧を届けるため、さらに努力を重ねるつもりです」とシスル氏は締めくくった。

シスル氏は訪日中、外務省、国際協力機構、WFP議員連盟、国連機関やNGOの関係者と会合を持ち、さらに関係を深めるべくさまざまな意見交換をした。その結果、援助現場での事業実施や、特に、来年日本で開かれる第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)や主要国首脳会議(サミット)を前に、対アフリカ援助に関する戦略的課題やアドボカシーの面で協力関係を深めていくことが重要であるとの認識で合意した。

シスル氏はまた、最近日本からWFPの2つの事業に拠出金が供与されたことに対し、政府関係者に直接、謝辞を述べた。イラクでの復興事業には3億5400万円(300万米ドル)が拠出されたが、これは最も貧しい地域に住む134万人の栄養失調の子どもやその家族、また35万人の妊娠・授乳中の女性に対する食糧援助に使われる。また、新型インフルエンザの出現に備えるための特別事業には1億3千万円(110万米ドル)が供与された。