WFP、深刻な資金難で食糧支援の縮小・停止の危機
現在、世界ではいまだかつてない規模で飢餓が拡がり、飢餓人口が急増している。開発途上国の多くの人々は、貧しさゆえ食糧すら買うことができない。にも関わらず、経済危機により、富める国がWFPの食糧支援活動に向けて拠出する資金は減少しており、未曾有の危機が起きている。
ロンドン発−食糧支援が最も必要とされている中、WFPは深刻な資金不足に見舞われている。今年も残りわずかとなった現在でも、WFPが確保できた資金は、計画した食糧支援活動に必要な金額の3分の1にしかすぎない。
「これまで各国の政府や民間から多大なご支援をいただいてきました。しかし、食糧価格は依然として高止まりしており、支援を必要とする人が増えています。国際社会からのより一層のご支援が必要なのです。経済の回復の兆しの見えてきた中、経済危機によって最も甚大な被害を受け、最も支援を必要としている人々を忘れてはなりません。」と、WFPのシーラン事務局長は、ロンドンで行われた記者会見で訴えた。
世界的な経済危機に加え、依然として食糧価格が高止まりしているため、世界で最も弱い立場にある人々は壊滅的な打撃を受けている。彼らは貧窮に喘ぎ、わずかな財産までも失うことになった挙句、飢餓に陥っている。ここに干ばつや嵐でも起ころうものなら、大惨事が発生する。
とりわけ、ケニア、グアテマラ、及びバングラデシュではWFPが大幅な資金不足に陥り、深刻な状況となっている。各国でWFPがどのような支援活動を行っているのか、またその支援が削減されるということは何を意味するのか。以下、国別に事例を紹介する。
ケニア −マーガレット・レゲイさん
マーガレットには6人の子どもがいるが、この子どもたちを養うのに苦労している。大干ばつのこれまでため、これまでに羊50頭のうち40頭と、牛10頭のうち9頭が死んでしまった。夫はケニア山に登り、まだ枯れずに残っている牧草がないか探す毎日だ。
グアテマラ −ロソーラ・ロペス・セグラさん
ロソーラには、生後8ヶ月になる娘マリアナがいる。グアテマラは栄養不足の子どもが多いが、マリアナは、WFPによって配給された栄養強化食品を食べて育ったため、栄養失調を免れた。しかし、資金難により、WFPは、10月にも栄養強化食品の配給を停止せざるを得ない状況に追い込まれている。
バングラデシュ −サミア・ベグンさん
サミアには2人の子供がおり、夫は障がい者だ。WFPの支援を受けるまでは、ほんのわずかな米で毎日の暮らしをしのいでいた。それすらも買えない日もあったため、栄養不足の瀬戸際にあった。WFPの支援がなくなれば、彼らは再び飢餓に苛まれる生活を強いられることになる。