WFP、アフリカにおける日本の積極的な取り組みを歓迎
WFP、アフリカにおける日本の積極的な取り組みを歓迎
横浜発 –日本は近年、政府、企業、NGO、市民が一丸となって、アフリカの飢餓撲滅に取り組んでいるが、WFPはこれを大いに歓迎したい。今週東京で開催された第4回WFP・日本政府政策協議において、WFP 国連世界食糧計画と日本政府は、アフリカにおける人間の安全保障と和平の定着を推進するために一層の努力を重ねていくことを約束した。
政策協議を終え、ジョン・パウエルWFP事務局次長は「アフリカにおける人道支援の必要性は従来にも増して高まっています。2007年度、WFPはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で4260万人を支援する計画ですが、このためには少なくとも20億米ドルが必要です。日本ではNGOや企業、そして市民の皆さんが、日本政府を後押しする形でアフリカ支援を増大させていますが、これは本当に喜ばしいことです。アフリカの飢餓を撲滅し、和平を定着させるため、WFPと日本は共に全力で取り組まなければなりません」と述べた。
現在、WFPには55人の日本人職員がおり、日々、飢餓軽減のために働いている。例えば、WFPスーダン局では忍足謙朗という日本人が代表をつとめ、WFPの中でも最大の事業を指揮している。
さらに、スーダン南部の援助現場ではWFPと日本のパートナー組織による協力関係が深まっている。ジュバ市にあるJICAの職業訓練校、ジュバ職業訓練センターでは、WFPが食糧を配給している。また、スーダンの人々が避難先から故郷に帰ってくる途中で立ち寄る臨時の配給所では、日本のNGO、アドラ・ジャパンがWFPの食糧を配給している。他のNGOも近々WFPと組んで、避難先から故郷に帰ってくる人々や、紛争によって生活の糧を失った人々に対する支援を始める予定だ。日本政府はこれを高く評価し、他の国でも日本の組織との連携を進めていってほしいとWFPに要請した。
WFPと日本政府は、連携の重要性を再確認するとともに、アフリカにおける人間の安全保障、和平の定着、援助現場での協力関係、アフリカの機関が自らの手で飢餓問題に立ち向かうための能力育成などの分野において、どのように協力関係を深めていくべきか、議論を重ねた。
WFPは世界およびアフリカ最大の食糧援助機関であり、2006年度にはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国のうち38か国で、飢餓や貧困に苦しむ人々に食糧を配給した。これには、紛争や自然災害の被災者に対する緊急援助や、HIV/エイズ患者とその家族に対する社会的保護も含まれる。また、幼い子どもやその母親には、栄養不足により衰弱することのないよう、通常の配給分に追加して食糧を配給している。学校でも、栄養価の高い給食や持ち帰り用食糧を提供し、就学率の向上をはかっている。
「戦後、日本の復興を支えたのは給食でした。日本人は、給食というものが国の経済や社会を発展させる上でいかに効果的か、よくご存知でしょう。WFPと日本は、互いの経験を共有することで、人間の安全保障を推進することができると思います。」と、パウエルは述べた。
WFPは鳥インフルエンザ対策においても最前線を走っている。また複雑な緊急事態においても、様々な援助機関の物資輸送を担い、輸送費削減のため、道路の修復も行っている。これらは、日本のODAの基本方針である、人間の安全保障と和平の定着に大きく貢献するものである。
日本とWFPは近年、アフリカ連合(AU)の指針「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」の枠組みを通じて、AUとの協力関係を深めている。これは、飢餓や貧困などの問題を自助努力によって解決するために、アフリカ諸国自身が能力を強化していくことを目的として制定されたものだ。WFPは長年の経験をいかし、早期警戒システムや食糧事情の分析、気候変動の危機管理、農業開発分野においてAUを支援している。WFPはこれらの経験を日本政府に披露し、来年、日本で開催されるアフリカ開発会議(TICAD IV)や主要国首脳会議(サミット)に向けての支援を申し出た。
日本はWFPにとって最大の支援国の一つとなっている。日本からWFPへの拠出金は、2005年の1億6050万米ドルから2006年の7230万米ドルへと減少したが、拠出全体の55パーセントはアフリカ支援に向けられた。また、去年、日本の企業や個人などからは120万米ドルの寄付があった。
2005年度、スコットランドで開かれたグレン・イーグルズサミットで、日本政府は以後3年間でアフリカ支援を倍増させると宣言している。
「日本のODAは、財政上の理由からここ10年で38%削減されたと聞いています。しかし、今回の協議において、WFPと日本はアフリカに関する真摯な問題意識を共有しました。きっと、日本のアフリカ支援はまた以前のような高いレベルに戻っていってくれると私は信じています」とパウエルは述べた。
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