異常気象による飢餓拡大を防ぐため、WFPが災害リスク資金の大幅拡充を呼びかけ
カリブ海を襲ったハリケーン・メリッサやフィリピンの台風26号(国際名:フォンウォン)など、最近の気象災害に見られるように、異常気象は世界的な飢餓危機を悪化させています。嵐、洪水、干ばつは人びとを家から追いやり、農業システムを混乱させ、供給網を寸断します。支援資金の大幅な縮小も脅威を増大させており、脆弱な地域社会は災害に備えて、対応し、回復するための資源を失う危険にさらされています。
「しっかりとした備えをしないことこそが、ハリケーンの到来を飢餓の大惨事に変えるのです」と、WFPの気候・レジリエンス局のリチャード・チョウラートン代表は述べました。「嵐が来てから行動するのは誤りです。早期かつ効果的で革新的な解決策が命を救い、生計を守ることを私たちは何度も証明してきました。この重要な活動を続けるために、緊急にさらなる支援が必要です。」
WFPは昨年、13か国で16件の気象災害が発生する前に行動しました。早期警報メッセージは約1,400万人に送信され、130万世帯が食料備蓄や生計を保護するための現金給付を受けました。事前対策措置に投じられた1ドルは、損失や回復の遅れを最大7ドル分防ぐ効果があるとされています。
またWFPは各国が災害リスク保険の支払いを、最も脆弱な人びとへの社会的補助に活用できるよう支援しています。2024年にはアフリカ、アジアと大洋州、中東、中南米地域の37か国で600万人以上に対し、総額3億6,100万米ドルの金融保護を提供しました。
地域社会が飢餓に耐えられるようにすることが鍵です。より多くの資金が地域に届き、食料システムを強化し、やせた土地を回復し、小規模農家がレジリエンスを構築できるようにしなければなりません。
COP30が閉幕するにあたり、WFPは議長国ブラジルによる大胆な「ムチロン外交」を称賛し、すべての関係者に対して、約束を実際の行動へとつなげること、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑えるという目標を守り続けること、適応策を加速させること、そして最も支援を必要とする人々に気候資金を届けることを呼びかけています。」
WFPによる2025年の気候変動への早期対応
- フィリピン:政府とWFPは11月に台風26号(国際名:フォンウォン)の上陸前に15万7,000人へ多目的現金支援を行い、食料や医薬品、住宅補強資材、安全な避難や生計保護のための購入を可能にしました。
- カリブ海地域:10月、ハリケーン・メリッサが襲来する前に、各国政府やパートナーと協力し、地域社会の備えを支援しました。ハイチでは350万人以上の警告メッセージを送信し、キューバでは27万5,000人分の食料を最大60日間支援できるよう事前に配置しました。ジャマイカでは、脆弱世帯が国家社会保護制度を通じて迅速に資金を得られるよう支援しました。現在、WFPは最も被害の大きい地域で、救援活動を強化しています。
- パキスタン:6月から9月半ばにかけてのモンスーン洪水で約700万人が被災し、1,000人以上が命を落としました。WFPは国家洪水対応を支援し、22万4,000人に食料と栄養支援を直接提供するとともに、国家の防災システムとレジリエンスを強化しました。
- アフリカ:WFPは気候災害に備える保険を国際機関が代理購入を行う「アフリカ・リスク・キャパシティー・レプリカ」、および大規模災害への備えを目的にした「アフリカ・カタストロフィック・レイヤー」を通じて8,000万米ドルの金融保障を確保し、ブルキナファソ、マダガスカル、マリ、モーリタニア、モザンビーク、ニジェール、ソマリア、スーダン、ガンビア、ザンビア、ジンバブエの11か国で250万人を保護しました。
- サヘル地域:WFPは2017年以来、ブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェールで干ばつ被害を受けた地域社会に包括的なレジリエンス支援を行い、400万人を支援してきました。この支援には、土壌・植生・水資源の再生のための食料支援、栄養支援、学校給食、小規模農家の能力強化が含まれます。WFPは2027年までに500万人への拡大を目指しています。
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編集者向け注記:
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WFPの2025年予測的行動の実施についてはこちらをご覧ください。
気温上昇が食料安全保障に与える影響に関する完全な報告書はこちらからご覧いただけます。
世界食糧計画(WFP)は、世界最大の人道支援機関であり、緊急事態において人命を救い、食料支援を通じて、紛争や災害、気候変動の影響から回復する人々に平和・安定・繁栄への道を築いています。