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シリア難民、200万人を超える ~国連WFP、シリア国内での物資搬送の状況改善を求める~

シリア難民、200万人を超える ~国連WFP、シリア国内での物資搬送の状況改善を求める~
アンマン発 シリア難民の数が200万人を超える中、国連WFPはシリア国内で支援物資をもっとスムーズに搬送できるよう状況の改善を求めました。支援物資が搬送できないと住民が飢えに陥り、さらに多くの人がシリア国内から脱出せざるを得なくなる恐れがあります。国連WFPは8月、300万人に支援食糧を届ける予定でしたが、治安悪化のため、240万人にしか届けることができませんでした。
  • シリアでは、暴力が拡大し都市の周辺で検問所が増加しているため、食糧搬送のペースが遅れ、アクセス不能となっている場所が多く存在します。特にハサカ県、デリゾール県、アレッポ県、イドリブ県、ダマスカス郊外では治安悪化および道路の閉鎖のため、以前にも増して支援物資の輸送が困難となっています。
  • 国連WFPは8月、ダマスカスの倉庫からシリア北東部のカミシュリーに向け、2回、支援物資の空輸を行いました。これは治安悪化と道路閉鎖を受けての措置で、1000世帯分の食糧が届けられました。
  • 国連WFPは現在、シリア国内で毎月300万人に支援を届けることを目指しており、10月の間には400万人に対象を拡げるべく、支援を拡大させています。最近の調査では、シリアの食料事情がこの1年で著しく悪化し、現在の紛争が続けば今後12か月間でシリアの農業生産がさらに減少するとの結果が出ています。食料価格高騰のため、インフレも進んでいます。
  • シリア国内ではパン不足が深刻なため、国連WFPは4月から、通常の食糧配給に加え、小麦粉の配布を始めました。小麦粉は毎月平均で120万人近くに配布しており、今までに配った量は2万3,400トンに達します。地方では主に家庭でパンを焼くために世帯ごとに小麦粉を配っていますが、いくつかの都市部では、まだ稼働しているパン屋に小麦粉を届けるよう手配を進めています。
  • 国連WFPはシリア国内では、避難民およびもっとも弱い立場にいる人々への支援を優先させています。支援活動はシリア赤新月社および22の地域団体・慈善団体との連携のもとで行われています。
  • ヨルダン、レバノン、イラク、トルコ、エジプトでは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民登録が済んだ人と登録待ちの人が計200万人に達しています。これらの国では、国連WFPは主に食糧引換券の形で、シリア難民を支援しています。食糧引換券を指定の食料品店に持って行くと、食糧を購入することができます。これは、街中には食べ物が売られているが人々には買う現金がない、という場合に用いられる支援の形態です。
  • 食糧引換券を難民が使用することにより、難民を受け入れている地域の地元経済が活性化します。2013年頭より、国連WFPが食糧引換券を通じてレバノン、ヨルダン、トルコ、イラク、エジプトの地域経済に注入した額は1億5000万米ドルに達します。
  • シリア及び周辺国での支援活動は、国連WFPにとって、全世界の中で最大かつもっとも複雑な緊急支援活動です。シリア紛争の被災者の食糧需要を満たすため、国連WFPは毎週3千万米ドルを必要としています。