シリア~150万人に緊急食糧支援が必要~
戦闘が続くシリアでは、緊急食糧支援に加え、種子や灌漑システムの修理、家畜の餌など、今後数ヶ月の食糧生産を確保するための農業支援が必要とされている。
調査団に対し生活の困窮を訴えるシリアの人々 WFP/Deir Ezzor
ダマスカス・ローマ発:国連とシリア政府が行った最新調査によると、シリアでは150万人が3ヶ月から6ヶ月間程度の食糧支援を必要としている。
これらの人々はシリアの中でも最も激しい戦闘や、それに伴う人の移動が起きている地域に住んでおり、危機にさらされている。
農業部門では今までに約18億米ドルの損失が発生し、計300万人が食糧や農業、畜産業の支援を必要としている。
この調査を受け、WFPシリア事務所長ムハナド・ハディは、「経済的損失はかなり深刻ですが、人道的状況はそれにもまして深刻です。これらの損失の影響を最も早く、そして最も深刻な形で受けるのは、貧困層です。調査団の視察に対し、貧困層からは収入が減り、支出が増えているとの声が寄せられました。彼らの生活は日々苦しくなっているのです。」とコメントした。
ハディ事務所長によれば、北東部の街を訪れた際、村で一番裕福な家庭でさえも食糧の在庫が一ヶ月分しか残っていなかった。
また、種子や家畜の餌、燃料そして灌漑設備の修理などの農業・畜産支援を必要としている人は100万人に上る。
戦闘が続く中、農家は、人手や燃料の不足、燃料の高騰、治安の悪化、停電による断水等により耕作を放棄したり畑を放置しなければならない状況に陥った。国内では小麦の収穫が遅れている。
「シリアの貧困層の収入源は農業や畜産であることが多く、種子、灌漑システムの修復、家畜の餌や健康管理などの緊急支援が必要です。迅速な支援がなければ、これらの人々の生活基盤は数ヶ月で崩壊する可能性があります。冬が近づいており、迅速な行動が急務です」とFAOシリア代表アブドゥラ・ビンイェヒアは述べた。