世界難民の日に寄せて ~家を追われた人たちに思いをはせて~
この2年来、何百万人ものシリア人が、暴力から逃れ安全を求めるために家を捨て避難するのを世界は見てきました。彼らは持てるだけの荷物を持ち、一度ならず二度も三度も移動を重ねることを余儀なくなれました。シリア人に対する支援の必要性は高まる一方で、国連WFPは年末までに700万人のシリア人をシリア国内及び周辺国で支援する予定です。
家を捨て逃げることを迫られたのはシリア人だけではありません。
今日、難民の日に寄せて、私は訴えたい。家、家族、仕事、学校、生活をすべて置いて、安全のために逃げなければならなかったすべての人たちに対し、私たちは目を向け続け、何より支援をしなければならないと。
去年私は、ニジェールの難民キャンプで国連WFPの支援食糧を受け取っていたマリ人の女性に会いました。銃声がとどろく中、子どもを連れて逃げてきたこの女性は、「家に帰りたい。でも少なくとも子どもは無事でよかったわ。」と言っていました。コンゴ民主共和国には衝突を避けてルワンダに避難した難民、バングラデシュにはミャンマーから安全を求めて逃げてきたロヒンギャ族の難民もいます。エクアドルは西半球で最も多い数の難民を受け入れ、コロンビアから毎月大勢の難民がやってきます。ケニアにもソマリア難民が大勢います。これらの難民はみな、家に帰れない状態が続いています。
2012年、国連WFPは、難民や国内避難民、そして避難先から故郷に帰還した人、計1000万人に食糧支援を行いました。不安定なことばかりの生活の中、国連WFPやそのパートナー機関が届ける食糧は一種の安定、安心感をもたらしています。
国際社会は、戦争、自然災害、飢餓などの理由から故郷を離れ逃げることを余儀なくされた人たちのことを忘れず、思いをはせ続けなければなりません。