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日本政府、アフリカの後発開発途上国3か国へ食糧支援

横浜発 - 日本政府は19日、アフリカの後発開発途上国3か国(ソマリア、ギニア、サントメ・プリンシペ)で慢性的食糧不足に苦しむ150万人以上に対する食糧支援として、WFP 国連世界食糧計画を通じて総額6億7千万円(約570万米ドル)を拠出することを決定した。

拠出金は、米、トウモロコシ、栄養強化混合食品の購入に充てられ、紛争や自然災害、慢性的貧困、不安定な社会・経済情勢に苦しむ難民や国内避難民(IDP)、栄養不足の子どもや女性、その他社会的弱者に対する食糧援助に活用される。
 
WFP日本事務所の玉村美保子代表は、「WFPは日本政府の継続的な支援に心から感謝いたします。ソマリア、ギニア、サントメ・プリンシペの3か国は、世界の中でも最も貧しい後発開発途上国に含まれます。今回の日本の拠出金は、これらの国が慢性的な飢餓から脱し、『人間の安全保障』を達成する上で、大きな礎になるものです。」と述べた。
 
今回の拠出のうち、ソマリアへは3億6千万円(約310米万ドル)が供与され、130万人に対する食糧援助に活用される。同国は昨年、内戦に加えて、過去数年で最悪の干ばつと大洪水に相次いで見舞われており、一層の援助を必要としている。
 
ソマリアでは1991年以来、実質的な中央政府が存在しない状態が続いている。5歳以下の栄養不足の子どもの割合も常に高く、地域によっては少なくとも子どもの5人に1人が栄養不足に陥っている。データ不足により国連開発計画(UNDP)の人間開発指標(HDI)の対象からは外れているが、同国の平均寿命は46歳と短い。
 
今回の日本からの拠出金は、栄養不足の子どもや結核患者、妊婦、授乳中の母親などの命を救い、栄養状態を改善するとともに、牧畜民や小規模農家の生活環境を改善するのに役立てられる。
 
西アフリカのギニアは、リベリアやシエラレオネ、コートジボワールなど内戦で疲弊した周辺諸国からの難民の流入が止まらず、混乱に陥っている。2000年からは政府当局の統治能力の低さや経済発展の停滞もあり、人々の生活環境はさらに悪化。2006年度の人間開発指標(HDI)は177か国中160位となっている。
 
今回、ギニアへは1億8千万円(約150万米ドル)が拠出され、難民、元兵士、また難民などの受け入れ先となっている地域の住民やその他社会的弱者など、16万6千人の食糧支援に用いられる。同国では最近ゼネストが決行され、デモ隊と治安部隊の衝突により数十名が死亡する事態に発展した。このように、現在危機的状況にあるギニアに日本から拠出金が供与されたことは非常に時宜にかなったものである。WFPは治安情勢の悪化に伴い、事業のほとんどを一時停止することを余儀なくされているが、事態が沈静化し次第、事業を再開する予定する予定である。日本からの拠出金は、最も貧しい人々への食糧援助を行なう上で大変貴重な支援となる。
 
サントメ・プリンシペには1億3千万円(約110万米ドル)が振り分けられる。1975年に独立後、同国の経済はカカオの生産・輸出に大きく依存してきたが、そのカカオ輸出が低迷するようになり致命的な打撃を受けた。2006年度の人間開発指標(HDI)は177か国中127位で、後発開発途上国の一つに認定されている。
 
WFPは政府と協力し、農作物の生産量増加と多品目化を図ると同時に、必要な栄養を摂ったり初等教育を受けたりすることが難しい農村の人々に対する支援を行なっている。今回の日本の拠出金は、小規模農家や読み書きのできない成人、学校に通う子ども、HIV/エイズ患者やその家族、その他社会的弱者など、計4万人以上への食糧支援に活用される。
 
来年、日本では第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)や主要国首脳会議(サミット)が開催され、アフリカの開発や貧困削減が主要な議題として取り上げられる。これらの重要な会議を前に、日本は近年、アフリカ支援における存在感を増してきている。今週には、ケニアのナイロビで、TICAD「持続可能な開発のための環境とエネルギー」閣僚会議が開かれる。この会議には、アフリカ、アジア、欧米諸国政府および地域機関、WFPを含む国際機関、並びにNGOから約100の国、機関が参加予定である。