気候変動〜飢餓を悪化させる厳しい現実
今週、約200カ国の代表が、気候変動の枠組みに関する国際条約について話し合うため、メキシコに集まった。WFPは、この国際会議を注意深く見守っている。なぜなら、気候は飢餓と密接な関係にあり、気候が不安定だと貧困はより一層深刻化するからである。
気候と飢餓の関係は、この夏パキスタンで起きた洪水を見てみるとよくわかる。パキスタンでは、大雨により、農地を浸水させ農作物に壊滅的な被害を与えるほどの大洪水が引き起こされ、1千万人が食糧支援を必要とする状態に陥った。
もうひとつの実例は、ロシアのいくつかの地域において、今年おきた干ばつである。この干ばつは、小麦の収穫量の著しい減少を引き起こし、国際市場における小麦の価格を上昇させ、貧しい国の人々は家族のために必要な食糧を買うことすら難しい状況となった。
気候と気候変動は、WFPの食糧支援活動に直接的な影響を及ぼす。今後、洪水や干ばつ、その他の気候に関連した災害が増えれば、WFPが支援しなければならない事態が増える。WFPは、そのような理由から、カンクンで開催されているCOP16を注視している。
実際、2050年までに、世界の飢餓人口は、気候変動によって10〜20%増加することが見込まれている。
カンクンにおける国際会議がどのような結果に終ろうとも、気候と天候に関連した災害は、貧困に苦しむ多くの人々にとって、避けがたい人生の現実であり続けるだろう。
しかし、そのような人々に対して世界ができることがある。それは、人々が不安定な気候に適応できるようにするための対策を推進し、また、政府が気候関連の衝撃に対処するための戦略を策定できるよう支援を行うことである。
WFPには、各国政府と地域社会が自然災害の初期的な兆候を監視し、災害に備え、被害を最小化できるようにするための様々なノウハウがあり、それをもって支援にあたることができる。
以下は、WFPが現在までに行ってきた3つの事例である。
エチオピア
エチオピア政府と協働し、貧困に苦しむ農家が、土壌侵食と森林破壊の悪循環を断ち切り、再び生産的な農場を取り戻すためのプロジェクトを実施。この革新的なプロジェクトのおかげで、農民たちは食糧を自給自足できるようになった。
中央アメリカ
世界で最も災害の起こりやすい地域の一つである中央アメリカにおいて、WFPは、SATCAシステム(Sistema de Alerta Temprana para Centroamerica)という早期警戒システムの開発をリードしてきた。これにより、人道支援機関と政府当局は自然災害を予期し、より良い形で災害に備えられるようになった。
バングラデシュ
洪水によって何度も家屋が押し流されるため、貧困から抜け出せないという状況があったが、ジュレッカさん(女性)は、バングラデシュ政府とWFPが実施した講座を受け、洪水の水が届かない場所に家を再建することができた。