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穀物高騰 WFPの支援活動にも大きな支障

穀物高騰 WFPの支援活動にも大きな支障
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穀物価格の高騰が続く中、世界中の貧困層がさらなる窮地に立たされています。世界には、1日1米ドル以下の生活費で暮らすことを余儀なくされている人々が10億人以上いますが、このような人々にとって食糧の値上がりは死活問題です。食事の回数を減らすか、安いが栄養価の低い食事に切り替えるか…いずれにしても、行き着く先は同じ、深刻な飢餓です。

一方、食糧支援の必要性が増す中、WFPの支援活動には深刻な影響が出ています。

去年、WFPは、2008年度(1月-12月)には78カ国で7300万人に食糧支援を実施するとの支援計画を立て、その費用は29億米ドルと試算しました。しかし、食糧の購入価格が去年の6月以降だけでも55%増と著しく増大し、同じ規模の支援を行なうには、当初の見込みより少なくとも5億米ドル多い34億米ドル以上が必要となってしまいました。

このまま穀物高騰が続いた場合には、今まで支援を必要としなかった人々すら食糧を買えなくなり、食糧支援を必要とするようになる可能性があります。しかし、この34億米ドルという数字は、当初予定していた支援計画を実施するために必要な金額であり、このような新たに支援が必要とされた場合にかかる費用は含まれていません。

WFPは国連分担金を受け取っておらず、その活動費はすべて政府や企業・個人からの任意拠出金や寄付金で成り立っています。穀物高騰と原油高はWFPにとって世界規模の緊急事態に他なりません。このままの状況が続けば、食糧を配給する人数を減らすか、あるいは1人あたりに配給する食糧の量を減らすかという究極の選択を迫られる可能性があります。

穀物高騰はすでに、世界中の国で人々の暮らしに大きな打撃を与えています。

中米ではこの1年で、小麦とトウモロコシの値段がおよそ2倍に上昇。これに伴い、エルサルバドルの農村地域における平均的なカロリー摂取量は、2006年5月時点と比べて4割減少したことが、WFPの調査で判明しました。

アフガニスタンでは小麦の値段が1年前と比べて6割値上がりしたため、買えなくなってしまった人が続出しました。そのため、政府と国連は共同アピールを出し、アフガニスタンで255万人におよそ9万トンの食糧支援を実施するため7700万ドルが必要だと国際社会に訴えました。現在、必要資金の3分の2が集まっており、3月初旬にはアフガニスタン各地で緊急食糧支援が始まりました。

今後、ジンバブエ・エリトリア・ハイチ・ジブチ・ガンビア・タジキスタン・トーゴ・チャド・ベナン・ミャンマー・カメルーン・セネガル・イエメン・キューバなどでも穀物高騰による深刻な影響が出ると見られています。