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国連WFP、UNHCR 、UNICEFが中央アフリカ共和国について東京で会見、支援呼びかける

国連WFP、UNHCR 、UNICEFが中央アフリカ共和国について東京で会見、支援呼びかける
4月4日、日本記者クラブにて、国連WFP、UNHCR、 UNICEFの日本事務所が、中央アフリカ共和国の人道危機についての緊急記者会見を行いました。国連WFP日本事務所のスティーブン・アンダーソン代表は、同国の農業と経済が崩壊し、9割の家庭が1日1食しか食べられず、全家庭の6割は食糧の備蓄がないこと、さらに、物資輸送を困難にさせる雨季の本格化が迫っており、支援は時間との闘いとなっていることなどについて訴えました。国連WFPでは、中央アフリカ共和国での活動を、シリアや南スーダンと並んで、世界で最も緊急度の高い支援活動としていますが、どの人道支援機関も資金難の状況です。

会見の様子を日本記者クラブのYouTubeチャンネルからご覧いただけます。 http://bit.ly/1hyQVTQ

会見では中央アフリカ共和国について、以下の状況について説明しました。

レベル3の緊急支援活動
国連WFPの緊急支援活動には1~3まで3段階のレベルがあり、中央アフリカ共和国は、最も急を要し大規模かつ複雑な、緊急支援活動であるレベル3の緊急事態と位置付けている。(現在、他にはシリア、南スーダン共和国がレベル3。)                                       

経済と農業への打撃 ―崩壊寸前―
 

  • 中央アフリカ共和国の主産業である農業が崩壊寸前。2013年単年で、食糧生産は3分の2以下になり、換金作物の生産は約半分に落ち込んだ。家畜の生産も半数以下になった。
  • 失業率は労働人口の75%(推定)。公務員はこの半年間、給料を支払われていない。
  • 公的な財源が枯渇。輸出は前年比で60%以上、輸入は25%以上落ち込んだ。商業と運送業を担っていたイスラム教徒が国外に流出し、経済活動がほぼ停止している。治安の悪化やそれにより物資の輸送活動が困難になったことで近隣国との交易と国内の流通活動が妨げられている。首都バンギ最大の食品卸売市場は崩壊寸前。約7割の商人が逃げ、現在の在庫レベルは1~2割程度。難民や国内避難民だけでなく、国民全体が打撃を受けている。


食糧難の状況

 

  •  紛争前から食糧事情が悪い。以前から3割の家庭(130万人)は食糧難。5歳未満の子どもの死亡率は世界6位の高さ。5歳未満の子どもの半数近くが発育阻害(慢性的栄養不良のため年齢の割に背が低い状態)で、4分の1は低体重。平均寿命も世界最低レベル。
  • 紛争開始後、さらに食糧事情が悪化。昨年12月の調査では9割の家庭が1日1食。全家庭の6割は食糧の備蓄がなかった。物資の輸送の困難さと市場の崩壊で食糧価格が高騰。食糧難や雨季による衛生状態の悪化などで乳幼児の死亡数が増え、栄養不良の大人・子どもが増えると見られている。 •
  • 国連WFPは中央アフリカ共和国内で125万人に食糧支援をする計画。
  • 影響は周辺国へ広がっている。カメルーン、チャド、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国へ難民が流出。周辺国も以前から紛争や干ばつなどの問題を抱え、ただでさえ食糧事情が悪いところに難民が押し寄せている。
     

国連WFPの活動

国連WFPは中央アフリカ共和国および周辺国の難民キャンプなどで食糧、食糧引換券または食糧購入用の現金の配布、5歳未満の栄養不良の子どもと妊婦や授乳中の女性への栄養支援、学校での給食の提供などを行っている。 2月には約23万人を支援した。

  1.  緊急支援 …首都Banguiや西部の街Bouar、Bossangoa、中央部のBambari、Kaga Bandoroなどで米、豆、食用油、砂糖などを配給
  2. 栄養強化支援 … 子どもへの栄養強化で日本のNGO「アフリカ友の会」(Amis d’Afrique)と協働。5歳未満の栄養不良の子ども、妊婦や授乳中の女性に栄養強化食品を配布
  3. 学校給食…西部(Bouar、Paoua)、中央部(Bambari)で学校給食を提供。首都バンギでも始める予定。
  4. 食糧引換券…周辺国で配布。
  5. 農業支援…2013年12月の調査では94%の農家が2014年の作付けに十分な種を確保できていなかった。現在、作付けの時期を前に姉妹機関のFAO(国際連合食糧農業機関)とともに、作物を作るための種を人々が食べないよう、食糧と種などを重点的に配布している。

 

日本からの支援

  • 日本政府は2013年12月以降、220万米ドルを中央アフリカ共和国支援のため国連WFPに拠出。拠出額は、単独の国では世界第3位。
  • 日本はこれまでも国連WFPの中央アフリカ共和国での活動を支援。年平均400万米ドル以上を拠出しトップのドナーの一つとなってきた。
  • 中央アフリカ共和国で活動する日本のNGO 「アフリカ友の会」は栄養不足やHIVに感染した子どもの支援を行っており、2005年以来、国連WFPと連携している。
     

3つの大きな課題
 

  1. 治安…極めて悪く、陸上での輸送が困難。襲撃を避けるために物資の輸送に護衛が必要な状況。カメルーンからの空輸を余儀なくされた。
  2. 雨季…既に開始。これから本格化する。道路の9割は舗装されていないため、ぬかるみ陸路での食糧輸送が非常に困難となる。
  3. 資金難…世界の関心が低く、“忘れられた危機”となってしまっている。資金難で支援活動が十分にできない。雨季で輸送が難しくなる前に、地方への食糧の備蓄も計画していたが、計画通り行えない。