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国連WFP、リベリアのエボラ隔離地区へ食糧支援

国連WFP、リベリアのエボラ隔離地区へ食糧支援
西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱は、リベリアの首都モンロビアをはじめ各地域へと感染が広がっています。中でもモンロビアは、エボラ出血熱流行の中心地となっています。今回、国連WFPのフランシス・ケネディー広報官が、街全体が隔離されたウェストポイント地区を訪れました。現地の状況を報告します。

モンロビア発 – リベリア政府は、エボラウィルスの拡散を防ぐ目的で、モンロビアの貧民街・ウェストポイントを隔離区域として封鎖しました。以来、人口密集地である同地区の出入り口を警察や軍が固め、住民は閉じ込められています。

 

海までつながるわずかな砂地に粗末な小屋がひしめくウェストポイント地区に私たちが足を踏み入れると、警察官が隔離に抗議する群集を追いやっており、危険な状態です。警察官は、外へ出ようとする車を調べ、トランクの中に隠れていた若い男性を見つけました。

 

エボラ出血熱の感染拡大により開始した緊急支援の一環として、国連WFPは地域のリーダーやリベリア赤十字と協力して、ウェストポイントに暮らす世帯に対し食糧支援を行っており、計5万人以上に食糧を届ける予定です。

 

ジェナー・カメラさんは、感染予防のため塩素水で手を洗ってから食糧配給の列に並ぶと、「(食糧を積んだ)大きな青いトラックが来てくれ大変嬉しいです。これで、私たち家族は今晩、食糧を持って帰ることができます」と話しました。

 

4人の子どもを持つカメラさんは魚を売って収入を得ていましたが、街の封鎖で行動が制限されたため、これまでの収入は一夜のうちに底をつきました。子供たちを食べさせていくのは大変です。「以前は、街の市場で魚や冷凍食品を売って1日15米ドルの収入がありました。自宅では、鶏肉や魚のスープを作って、子どもたちに栄養のあるものを食べさせていました。最近は、もっぱらお米ばかり食べています」とカメラさんは話しました。

 

カメラさんは、エボラ出血熱が地方から都市部にまで拡大したことで、さまざまなことに影響が及んでいると言います。「子どもたちは、学校が閉鎖されているため、ずっと自宅で過ごすしかありません。これからどうしたらいいのか、心配でしかたありません」と不安をもらしました。

 

3人の母親であるヴェロニカ・クーポさんも、食糧配給の列に並んでいる一人です。クーポさんは、モンロビアの反対側に住む裕福な家庭でベビーシッターの仕事をしています。クーポさんは、「隔離されてから働きに行くことができません。このままでは、雇用主が他のベビーシッターを雇い、私は失業してしまうのではないかと心配しています」と話しました。クーポさんは、すでに現金が底をつき、物価が高騰する市場では日常のちょっとした物すら買えていないと言います。

 

「エボラウイルス自体は怖くありません。怖いのは、それがどう生活に影響を及ぼすかです」と彼女は話しました。クーポさんは、配られた乾燥エンドウ豆を頭へ載せて、家に帰る準備をしていました。

 

国連WFPは、5人家族に対して、50キロの米、乾燥エンドウ豆、5リットルの食用油を提供しています。配給食糧を受け取る人の中には、自宅に持って帰るため手押し車を使用する人もいます。女性が列に並んでいる傍ら、男性は手押し車を道路脇に一列に止めて、辛抱強く待っています。

 

国連WFPプログラム・アシスタントのモーリス・ファンブレは、ウェストポイントのような人口密集地の貧困街で食糧配給を行う難しさについて、「食糧を受け取る人々は、5人組となって、約1.2メートル間隔に並んで待ちます」と現場の状況を話しました。食糧配給場所は狭く、主要道路は一つしかありません。また、雨は、特に雨季には激しい雨が頻繁に降るため、食糧を配る上で妨げになります。

 

保健チームは、ウェストポイントでエボラ出血熱の感染拡大を防ぐ啓発活動を行っています。しかし、住民の間には、貧困街の同地区がなぜ隔離される必要があるのかと政府に対して強い不信感があり、隔離に抗議する事態へと発展しています。