国連で新たな開発目標採択、飢餓に終止符を
これまでの取り組みと新たな開発目標
国連総会では、193の国連加盟国が、何億人もの世界の人々の暮らしに影響する重要な政策について話し合います。
第70回を迎える今年の総会では、新たな開発目標、「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals, 略称SDGs)が採択されました。国連が2000年から15年間にわたり、世界の貧困削減と開発を目指して掲げてきた「ミレニアム開発目標」(Millennium Development Goals, 略称MDGs)が今年末、達成期限を迎えることから、その成果を元に新たに策定されたものです。
MDGsは各国や開発援助機関が、世界のもっとも貧しい人々の窮状を改善するために策定した世界的な開発目標で、特に、飢餓の削減、ジェンダー平等の実現、妊産婦の健康状態の改善などに力点が置かれました。しかしながら、多くの課題がいまだ残されています。
「持続可能な開発目標」と国連WFP
SDGsは、MDGsを土台として貧困に終止符を打つことを目指しており、先進国も対象に、格差の解消や、経済や社会の持続的な発展、気候変動への対処といった幅広い課題を扱う17の目標から成っています。達成期限は2030年です。100以上の国や地域の指導者が「国連持続可能な開発サミット」に参加し、SDGsを採択しました。
国連WFPは、飢餓のない世界を目指して活動しています。MDGsの目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」は、大きな成果をもたらしました。SDGsの17の目標のうち、目標2は、MDGsの目標1を引き継ぎ、国連WFPの使命である「飢餓ゼロ」(飢餓のない世界」の実現を具現化したもので、「飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養改善を達成し、持続可能な農業を推進する」ことをめざします。
ヒマラヤに掲げられた「飢餓ゼロ」の旗
地球に生きる70億人にSDGsの17の目標を届けるため、それぞれの目標について一本ずつ、旗を掲げる取り組みが世界中で行われています。23日には、ネパール人の女性登山家、ニムドマ・シェルパさんが、同国内・ヒマラヤ山脈の標高2,000m地点にあるゴルカ地区の村に、「飢餓ゼロ」の目標が描かれた旗を立てました。この村は5か月前、震災に襲われ、大きな被害が出た場所です。
ニムドマさんは子どもの頃、国連WFPの学校給食を食べて育ち、2008年、17歳でエベレスト登頂の夢をかなえました。今年のネパールの震災後は、登山技術を活かして高地にある被災地の緊急支援に携わり、被災地の飢餓解消に貢献してきました。「ネパールのため、国連WFPのため、世界のために、ヒマラヤにこの旗を掲げます。」と話ったニムドマさんに対し、村人のチャンドラさんは「震災の後は大変でしたが、このメッセージを世界に伝えることができて誇りに思います」と伝えました。