アフガニスタンで記録的水準の飢餓が継続：危機の解決に人道支援、生計支援、雇用、長期的な投資が必要

 報告書は2022年6月から11月の見通しで、食料不安に直面する人の数は1890万人へと減少し、食料安全保障の状況にわずかな改善を予測しています。これは5月から8月までの小麦の収穫時期と重なることや、今年の人道的食料支援の協調的な拡大、農業生活の支援の拡大が理由となっています。しかし、改善はわずかであると報告書は警告しています。長引く干ばつや深刻な経済危機は、これまでにない水準の飢餓がアフガニスタン全土で何百万もの人びとの生命や生活を脅かし続けることを意味します。

特に懸念されているのは、2011年にIPCがアフガニスタンで導入されて以来初めて、一部の地域が「壊滅的」な水準の食料不安（IPCフェーズ５）に陥っていることです。長期にわたる厳しい冬と、悲惨な農業状態のため、北東部のゴール州で２万人以上が壊滅的水準の飢餓に直面しています。

「食料安全保障を強化に焦点をあてたかつてない水準の人道支援が効果を生みました。しかし食料安全保障は厳しい状況にあります。人道支援の重要性は依然として切実です。また、破壊された農業生活を再建し、農家や農村を、国中の苦しんでいる農村や都市の市場と再びつなぐ必要があります。そうしなければこの危機から脱するすべはありません」とFAOアフガニスタン事務所のリチャード・トレンチャード代表は述べました。

「食料支援と緊急の生計支援はアフガニスタンの人びとにとって命綱となっています。国連WFPは世界で最大の人道食料支援をたった数か月の間に開始し、1600万人以上に支援の手を差し伸べました」と国連WFPアフガニスタン事務所のメアリー・エレン・マクグロアティー代表は述べています。

「私たちは農家、製粉業者、ベーカリーと協力し、女性へトレーニングを提供し、雇用を生み出し、地元の経済を支援しています。アフガニスタンの人びとは切実に働きたいと願っています。女性は働くこと、少女は学校へ行くことを望んでいます。経済が普通に機能することが危機から脱するための確実な方法です。そうでなければ穀物を育てることができない場所で苦難が広がるでしょう」と付け加えました。

収入の減少や食料不足に苦しんでいる何百万もの家族にとって今後の収穫は安堵をもたらすことになります。しかし、多くの人びとにとって収穫による安堵は短期のもので、回復するための機会とはほとんどなりません。ウクライナの戦争はアフガニスタンでの小麦の供給や食料品、農業生産に必要な投入物、燃料費を圧迫しています。種子、肥料、灌漑のための水へのアクセスは限られ、雇用の機会は乏しく、この数か月では食料を購入するため巨額の負債が発生しています。

FAOと国連WFPはそれぞれのプログラムをアフガニスタン全土で拡大し続けています。国連WFPは2022年には1600万人以上に対して緊急の食料支援を提供し、地元経済を支え、小売り店やサプライヤーと協力しています。国連WFPは技術訓練や気候適応プロジェクトを通じて、家族が自分たちの土地を耕し食料を育てられるよう、人びとの生活に投資し続けていきます。

FAOは農村で農家や放牧者への支援を拡大し続けることで、2022年に900万人以上を支援します。穀物や家畜、野菜の生産、現金支給や重要な灌漑インフラや制度の復活を支援していきます。

農業支援は費用対効果が高い戦略的支援で、短期的に命を救う素晴らしい影響が期待できます。また長期的な回復や持続可能な開発にもつながります。

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国連食糧農業機関（FAO）は国連の専門機関で飢餓をなくすための国際的な努力を主導しています。すべての人に対する食料安全保障を達成し、だれもが活発で健康的な生活ができるよう良質の食料への定期的なアクセスの確立を目指しています。

WFP国連世界食糧計画（国連WFP）は、2020年のノーベル平和賞を受賞しました。 私たちは世界最大の人道支援組織であり、緊急時に命を救い、食料支援を活用して、紛争や災害、気候変動の影響から立ち直った人々のために平和、安定、繁栄への道筋を構築しています。