Skip to main content

食糧関連の国連三機関が2015年以降の食糧・栄養分野の開発目標を発表

食糧関連の国連三機関が2015年以降の食糧・栄養分野の開発目標を発表
ローマ発ローマに本部を置く食糧関連の国連3機関、WFP 国連世界食糧計画、国際連合食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)はこれまで、持続可能な農業、食糧の安全保障および栄養分野における新しい開発枠組み構築に向けて目標を合同で設定する作業を続けてきましたが、4日、その結果を発表しました。ミレニアム開発目標(MDGs)に続く2015年以降の開発アジェンダをどのようにするかについての議論が各国政府間で行われていますが、今回の発表はそれに対して重要な指針を示すものです。

開発目標は国連WFP本部で行われたハイレベル会合で発表されました。会合には賓客としてリベリア大統領、エレン・ジョンソン・サーリーフ氏が出席したほか、イタリア外務副大臣、ラポ・ピスティッリ氏も出席しました。

三機関の代表は、2015年を期限とするミレニアム開発目標の達成に向けてなすべきことをすることについての重要性で一致しましたが、また栄養不良、持続可能で包括的な食糧システムやその相互の関連性など、より普遍的な課題を掘り下げて扱う必要性があることも強調しました。
そして、以下の5つの目標を示しました。
 

  • 年間を通して、十分な食糧を得ることができるようにする
  •  いかなる形態の栄養不良もなくすこと。 特に発育阻害(慢性的栄養不良のため、年齢に対して低身長であること)の防止に重点を置く
  •  食糧の供給システムをより生産的で、持続可能、かつリジリエントで、効率的なものにする
  • 小規模農家、特に女性が十分な資材、知識、生産資源、サービスにアクセスできるようにする
  •  生産後の食糧システムをより効率的にし、世界の食糧ロスや廃棄率を半分に減らす


三機関は、これらの促進のためには各国政府、民間部門、開発機関、そして生産者から消費者まで社会のすべての人たちの間で、革新的な協力関係が不可欠になると強調しました。これらの目標への取り組みの効果を検証しつつ、責任を明確化し、また様々な関係者が政策決定時に意見を表明できる新しいガバナンスの仕組みも必要となってきます。

そして会合では、飢餓のない世界を目指すための投資や、新しいパートナーシップの中心に据えられるべき、小規模農家が世界の食糧安全保障の中で果たす新しい役割についても、話し合いがなされました。

新しい開発目標は潘基文国連事務総長の提唱する「飢餓ゼロへの挑戦」に沿っています。「飢餓ゼロへの挑戦」は私たちの世代で、慢性的な飢餓と栄養不良を撲滅することを提唱しています。

「食糧の安全保障と栄養は最も脆弱な人々、特に子どもにとってより良い明日を築くのに大変重要な役割を担っています。飢餓をなくすことは個人、地域、そして国家の将来の可能性を大きく広げることにつながるのです。」アーサリン・カズン国連WFP事務局長は述べました。「これらの目標の達成には、経済成長の恩恵をすべての人が公平に受けられるようにすることが必要です。」

三機関は、ミレニアム開発目標のいくつかの分野では、既に大きな進歩が見られると述べました。たとえば、極めて貧困な状態で暮らす人々の数を半減することや、安全な飲み水へのアクセス、就学率の向上などです。一方で、いまだに8億4千万人が慢性的にお腹をすかせており、世界の農村地域の多くで貧困が続いている状態で、世界全体では、目標の達成への道のりは長いと強調しました。

したがって、2015年に国連総会で採択される新しい開発目標は、十分な食糧、よりよい栄養、ジェンダーの平等、小規模農家への配慮、そして持続可能でリジリエントな食糧システムの実現を促進するものとなる必要があるのです。