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早期の行動と投資によって食料危機を回避し、世界の食料支援額を大きく削減することが可能に

早期の行動と投資によって食料危機を回避し、世界の食料支援額を大きく削減することが可能に
ローマ - 世界の飢餓人口は増加傾向にあり、食料危機の広がりと共にその深刻さも増しています。国連WFPの「世界の食料支援:食料危機の予防(World Food Assistance 2018)」という新しい報告書は、これらの危機の原因や、その規模を決定づける要因、そして危機の予防についての調査報告をまとめました。

報告書で明らかになったことの一つが、予防措置を取ることで食料支援にかかる費用の多くを削減することができるということです。飢餓を引き起こす大きな要因の一つである「紛争」を終結させることで、年間最大50%まで食料支援のコストを削減することができる可能性があります。

 

政治的安定と暴力の不在」として知られる平和と安定の状況を測る世界銀行の指標が、1ポイント上昇することによって、30億米ドルを節約することができます(2016年のデータに基づく)。例えば、国連WFPは以下の国々で食料支援にかかる費用を減らすことができます。

 

シリアでは、年間3億米ドルを削減

イエメンでは、年間2億500万米ドルを削減

ソマリアでは、年間8500万米ドルを削減

 

国連WFPフードシステム担当主任のスティーブン・オマモは、この報告書の立案者であり、「紛争を終わらせることが不可欠だ」と話しています。「しかし、食料危機を防ぐためには、教育やインフラ、経済成長への長期的な投資が必要です。一人当たりの収入の増加により、国家は食料危機の規模を抑えることができますが、低所得の国でさえこれらの投資を行うことで危機を防ぐことができます。」と続けました。

 

もし世界が、紛争だけではなく気候変動や、慢性的な飢餓と栄養不良、機能不全の食料システム、そして政治や社会、経済構造の欠陥など、食料危機のすべての要因を把握することができれば、国連WFPの年間の食料支援額は50億米ドル以上低くなることでしょう。これは言い換えれば、実質的には食料支援の必要はなくなり、節約された資金を、最も弱い立場にある人々の生活を改善するための長期的な開発事業に費やすことができるということです。