中央アメリカの"ドライ・コリドー(乾燥回廊)"地域やハイチから、サヘル地域、中央アフリカ共和国、南スーダンを抜け、東へ向かってアフリカの角、シリア、イエメン、そこからアフガニスタンまで、世界中に飢餓の火山帯が広がっています。これらの地域では紛争や気候ショックが、何百万人もの人びとを餓死の瀬戸際に追いやっているのです。
ニーズが膨らむ一方で、財源は底をついています。WFP国連世界食糧計画(国連WFP)が、2022年に1億4700万人に食料を届けるために、215億米ドルを必要としています。しかし、世界経済は新型コロナウイルス感染症によって混乱しており、ニーズに対する資金不足はかつてないほどに広がっています。
必要な財源が確保できない限り、その代償として命が失われ、苦労して得た開発の成果も台無しになってしまうでしょう。
「飢餓を引き起こす不安定の火山帯が世界に広がっています。今すぐに行動を起こさなければ、莫大な代償を支払うことになります。」国連WFPデイビッド・ビーズリー事務局長、2022年2月ミュンヘン安全保障会議にてVideo: MSC
ナイジェリア、南スーダンやイエメンといった国々では、国連WFPはすでに難しい決断を迫られており、配給量を減らすことでより多くの人びとに食料を行き渡らせるなどしています。これは飢えに苦しむ人びとから取り上げ、餓死の危険のある人びとに与えるということなのです。
強靭な地域社会づくりに投資できなかったことの影響は、国境を越えて及ぶことになるでしょう。地域社会がショックやストレスに耐える力をつけていないと、移住の増加や、場合によっては不安定化や紛争を引き起こす可能性があります。近年の出来事がこのことを物語っています。2015年、国連WFPがシリア難民向けの食料支援において資金不足に陥った際、難民たちはキャンプを出て、どこか他のところに助けを求めざるを得なくなりました。その結果、近年のヨーロッパ史において特に深刻な難民危機のひとつが引き起こされたのです。