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シエラレオネの農村:ファトマタさんの子供たちには今夜も夕食がありません

飢餓が未曾有のレベルに達している西アフリカの国で、学校給食が、たった一人で家族を支える女性とその家族の命をつなぎます。
, Lydia Wamala
ダルエスサラーム村の自宅にて、ファトマタさんとその家族。
ダルエスサラーム村の自宅にて、ファトマタさんとその家族。 Photo: WFP/Michael Duff

シエラレオネ北部のダルエスサラーム村の家の広い中庭で、ファトマタ・カマラさんは3人の娘たちが学校から帰宅するのを見守っています。

娘たちを見つけほんの数秒の微笑みを浮かべた後、ファトマタさんの関心は、娘たちをすぐに着替えさせ、翌日の学校のために制服を洗濯して一晩乾かすことに移ります。

ベランダに置かれた丸太の上で制服を乾かしているファトマタさんに娘の一人は尋ねます。「そろそろ夕食を作るの?」ファトマタさんは答えます。「今夜は何もないの」。

「子供たちは、食材があるときは夕食を作り、今日のように食材がないときは夕食をスキップすることを知っています」と彼女は言います。「そんな夜は、子供たちが寝付くまで起きておしゃべりをします」。

家族が今夜食べる唯一のものは、彼女が住んでいる地域で豊富にある、パーム油で調理されたマンゴーだとファトマさんは言います。

5月から9月にかけての農閑期には、児童が適切な夕食や朝食を食べないことはすでに一般的になりました。

この国の多くの人にとって、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)から提供される一食分の心のこもった学校給食が、生きていくための唯一の頼りなのです。

国連WFPの学校給食を食べるファトマタさんの娘さん(中央)。
国連WFPの学校給食を食べるファトマタさんの娘さん(中央)。 Photo: WFP/Michael Duff

この原因の一つは、ほとんどの親が自給自足の農業を営んでおり、特に干ばつや洪水などの異常気象の際にはあまり収穫が得られないことにあります。良い種や肥料は高価で手に入りにくいことや、収穫後の食品ロスが一般的に高いことも挙げられます。

基本的な人間開発指数で最下位に近いこの西アフリカの国では、近年、多くの人にとってさらに困難な状況が続いています。経済の停滞、貧困の蔓延、自国通貨の急速な下落、新型コロナウイルスの影響により、飢餓のレベルが確実に上昇しています。

さらに、ウクライナ戦争で世界のインフレ率が上昇したことが転換点となり、燃料と食料のコストが急上昇しました。

誰が食べるのか選ばなければならないことも

国連WFPと政府の専門家による8月の食料安全保障分析によると、全国で5世帯に4世帯が食料不安に陥り、15%が深刻な飢餓に直面していることがわかりました。これは、この地域の農閑期としては前例のないレベルです。また、大多数の世帯が収入の4分の3を食費に充てていることも分かりました。

娘たちが通う学校で調理ボランティアをするファトマタさん。
娘たちが通う学校で調理ボランティアをするファトマタさん。Photo: WFP/Michael Duff

物価も上がり続けています。例えば、主食である米は今年40%以上値上がりし、ファトマタさん一家の大好物である魚もより高価になっています。

現在、シエラレオネの人口の半数以上が、食事の量を減らしたり、少なくしたり、家族の中で食べる人と食べない人を決めたりしています。極端な話では、食べられると思われるものは何でもパーム油で揚げて食べたりしているのです。

「このことが意味するのは、大混乱の前の静けさであり、人々は食料を入手するためにあらゆる手段を講じます。しかし、私たちが介入しなければ、彼らの手段は尽きてしまいます」と語るのは、国連WFPシエラレオネ事務所のバラ・ムサ・カンデ脆弱性分析・マッピング担当官です。

「ロシアと並ぶ穀物・肥料の主要輸出国であるウクライナの危機により、肥料が高騰しているため、農村部では飢餓と貧困のレベルが上がり続けるでしょう」とカンデ担当官は話します。

ダルエスサラームの学校に通うファトマタさんの娘、マリアマさん。Photo: WFP/Michael Duff
ダルエスサラームの学校に通うファトマタさんの娘、マリアマさん。Photo: WFP/Michael Duff

学校給食は、子供たちを学校に呼び寄せ、そこで学ぶことで明るい未来への道筋を歩ませることができます。ファトマタさんをはじめとする多くの親たちにとって、国連WFPの学校給食は、穀物、豆類、強化植物油で構成され、1日に必要な最低カロリーの3分の1を満たしているため、大きな助けとなっています。学校給食がこれらの人々の問題を解決する最良の方法なのです。

ご主人が今年初めに病気で亡くなり、5人の娘と亡きご主人の息子である孤児の男の子を一人で世話することになったファトマタさんにとっては特に重要です。

ファトマタさんは、他の両親や祖父母とともに、娘たちが通う小学校でボランティアとして調理師をしています。彼らは登録された495人の子どもたちの給食を作るための食材支援のためのバウチャーを受け取るため、学校までの長い道のりを歩きます

「私がもらえた分は家に持ち帰り、娘たちは学校に通っているので食べることができ、とても幸せです」とファトマタさんは言います。

学校給食の調理に使うため国連WFPが支給した植物油の水差しを持つファトマタさん。
学校給食の調理に使うため国連WFPが支給した植物油の水差しを持つファトマタさん。 Photo: WFP/Michael Duff

彼女はまた、畑の余った野菜をマーケットで販売し、1週間で約45レアル(約0.5米ドル以下)を稼ぎ、その一部は緊急時のために貯金しています。

幸運な日には、子どもたちは給食と夜食の両方を食べることができます。9月もファトマタさんは毎週少なくとも5回は夕食を作ることができました。学校の制服の洗濯は後回しになりましたが。

ドイツ、日本、スウェーデンからの資金援助により、国連WFPはシエラレオネの11万8000人の子どもたちに毎日1食、栄養価の高い温かい食事を提供しています。さらに国連WFPは、シエラレオネで最も食料事情が不安定な地域に住む11万5000人の最も弱い立場に置かれた学童を支援するために、さらに280万ドルを緊急に必要としています。

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