7. 支援(しえん)を「卒業」する


 

自力での生活めざし職業訓練(しょくぎょうくんれん)
 飢(う)えの問題を根っこから解決(かいけつ)するにはどうしたらいいでしょうか。
 飢えを病気にたとえてみましょう。かぜをひいたときにかぜ薬をのむことで一時的に体は楽になるかもしれません。でも、かぜをひくたびに薬をのむことは本当の解決ではありません。そもそも、かぜに負けないような強い体をつくることが一番よい解決の方法ですよね。
 それと同じで、ただ食べ物を配り続けるだけの支援(しえん)は、本当の解決策(かいけつさく)ではありません。それは、かぜ薬をあげ続けるようなものです。
 根っこから解決するには、支援がなくても自分たちの力だけで食べていけるよう、家庭や地域(ちいき)の力を強くしていかなければなりません。
 そこで、国連WFPは、家庭や地域の自立を応援(おうえん)するような、言ってみれば支援からの「卒業」を応援する活動も行っています。
 例えば、仕事がない人には、仕事のやり方を学ぶ学校に行き、訓練を受けるようすすめます。仕事は、農業、裁縫(さいほう)、車の整備(せいび)などさまざまです。訓練を受けている間は、国連WFPが、食べ物や食べ物を買うためのお金を配ります。訓練を受ける人は食べ物の心配をしなくてよいので、授業(じゅぎょう)に集中できます。そして、訓練が終わったときには、お金をかせぐ技能(ぎのう)が身につき、自分の力で生活できるようになっています。

裁縫(さいほう)を学ぶ職業訓練(しょくぎょうくんれん)。
受けている人には国連WFPから食べ物が配られます=アフガニスタンで
WFP/Richard Lee

 

地域(ちいき)の井戸(いど)や道路工事もみんなで
 また、国連WFPは、地域全体のくらしがよくなるように、みんなの役に立つ設備(せつび)などをつくる工事を応援しています。村に井戸(いど)や学校、道路などをつくったり、農業のための水を引いてきたりします。その工事に参加した人に、国連WFPは食べ物や食べ物を買うお金を配ります。
 工事の間は食べ物の心配がなく、また工事で役に立つ設備ができると、少し生活が楽になります。例えば、それまで川からバケツで1ぱいずつ水をくんできて水やりしていた畑に、地下水をくみあげて水やりをする装置(そうち)をつくると、日照りが続いても農作物がかれずに育ち、たくさん収穫(しゅうかく)できます。こうして、災害があっても支援の必要がない、強い家庭、強い地域ができていくのです。

有機農業の訓練を受けて収穫(しゅうかく)が増えたザンビアの農家
WFP/Rein Skullerud

 

まずしい農家から買う
 また、国連WFPは、支援活動で配るための食べ物を、なるべく途上国(とじょうこく)のまずしい農家から買うようにしています。農家は国連WFPという買い手がいることで安心し、よい種や肥料(ひりょう)を買うなど、お金をかけて農業に取り組むことができます。こうして農家として力をつけていくのです。
 いま支援を受けている人も、ずっと支援にたよって生きていきたいわけではないのです。支援を卒業し、自分の力で生活できるようになると、強いほこりを持てます。
 国連WFPの一番の願いは、国連WFPの支援が必要ない世界をつくっていくことです。

 

※この記事の原文は2013年5月に朝日小学生新聞に掲載されました。

 



子どもページ「飢(う)えのない世界を」

1. 「飢(う)え」ってなに?2. なぜ飢(う)えてしまうの?3. 国連WFPの緊急支援(きんきゅうしえん)
4. シリアはいま5. 栄養が貧困脱出(ひんこんだっしゅつ)のかぎ6. 給食がかなえた夢(ゆめ)
7. 支援(しえん)を「卒業」する8. アフリカで農家の支援(しえん)9. 支援物資(しえんぶっし)をどう運ぶ?
10. 「進化」する支援方法(しえんほうほう)11. 支援(しえん)の現場(げんば)で働く12. 世界とつながろう