5. 栄養が貧困脱出(ひんこんだっしゅつ)のかぎ


 

バランスよい食事で健康、活力
 人間は、食べたものから力をもらって生きています。「エネルギーになる」「体を作る」「体の調子を整える」など、ちがった働きをする栄養素(えいようそ)をバランスよくとることが必要です。
 でもまずしい国では、栄養のある食べ物が高くて買えなかったり、栄養の知識(ちしき)がなかったりして、栄養が足りていない人が大勢(おおぜい)います。
 栄養が足りないと、こまったことがたくさん起きます。
 栄養が足りないお母さんから生まれた子どもは、やはり栄養が足りません。体が大きくなりにくく、病気にかかりやすくなります。5才になる前になくなる世界の子どものうち、3人に1人は栄養不足が根っこの原因(げんいん)です。
 栄養が足りないと、学ぶ力や集中力も弱くなり、成績(せいせき)が悪くなりがちです。
 大人になっても仕事をしてお金をかせぐことがむずかしく、まずしさからぬけ出せません。

 

妊娠(にんしん)~2才の1000日が勝負、特別食で支援(しえん)
 特に栄養が必要な時期は、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にできて(妊娠)から、生まれて2才の誕生日(たんじょうび)をむかえるまでのおよそ1000日間です。この時期に栄養が足りないと、後でいくら栄養をとっても完全な回復(かいふく)はむずかしく、健康の問題が残ってしまいます。
 そこで国連WFPは、小さな子どもと、おなかに赤ちゃんがいたり、赤ちゃんに母乳(ぼにゅう)をあげていたりするお母さんに、栄養のつまった特別な食べ物を配っています。
 たとえば、赤ちゃんには、離乳食(りにゅうしょく)のようなやわらかいペーストをあげます。

国連WFPの栄養強化食品(ピーナッツペースト)を食べる子ども=アフリカ北西部のマリで
WFP/Rein Skullerud


 写真の子どもが持っているのはココア風味のピーナツペーストで、油や砂糖(さとう)、牛乳(ぎゅうにゅう)の成分などが入っています。たった1ふくろで、日本の小学1年生の給食1食分と同じぐらいのカロリーをとることができます。

 

20種類の栄養ふくむ
 このペーストには、およそ20種類のビタミンとミネラルがふくまれています。
 ビタミンやミネラルは、ほねや歯を作ったり、体の調子を整えたりするために必要な栄養です。カロリーが高い食事でも、ビタミンやミネラルが足りないと栄養不足になってしまうので、しっかりとる必要があります。

このふくろにピーナッツペーストが入っています
WFP/Rein Skullerud


 しっかり栄養をとることで、子どもは健康に育ち、人生をいきいきとすごすことができます。また、健康な大人がふえれば、その国は物を作ったり売ったりする経済活動(けいざいかつどう)がさかんになり、ゆたかになっていきます。
 世界のまずしさの問題を解決(かいけつ)するためには、子どもの栄養状態(えいようじょうたい)をよくすることがとても大事なのです。

 

※この記事の原文は2013年4月に朝日小学生新聞に掲載されました。

 



子どもページ「飢(う)えのない世界を」

1. 「飢(う)え」ってなに?2. なぜ飢(う)えてしまうの?3. 国連WFPの緊急支援(きんきゅうしえん)
4. シリアはいま5. 栄養が貧困脱出(ひんこんだっしゅつ)のかぎ6. 給食がかなえた夢(ゆめ)
7. 支援(しえん)を「卒業」する8. アフリカで農家の支援(しえん)9. 支援物資(しえんぶっし)をどう運ぶ?
10. 「進化」する支援方法(しえんほうほう)11. 支援(しえん)の現場(げんば)で働く12. 世界とつながろう