4. シリアはいま


 

争いで国内外に避難(ひなん)600万人
 シリアという中東の国を知っていますか。いま、この国では、政府(せいふ)を応援(おうえん)するグループと、政府に反対するグループの間で、戦いが起きています。
 争いが始まったのは2年前。戦いはどんどんはげしくなり、たくさんの人がなくなったりけがをしたりしています。
 シリア国内ではいま、学校などの避難所(ひなんじょ)や知り合いの家、こわれた建物などで420万人以上が避難生活を送ります。
 一方、外国に避難(ひなん)する人たちもふえ続けています。外国に避難する人を「難民(なんみん)」といいますが、ヨルダン、レバノン、イラクなど周りの国にのがれたシリア難民は、登録手続き中の人をふくめ180万人をこえました。
 みな特にこまっているのが食べ物です。戦闘地域(せんとうちいき)では物が不足し、食べ物が大はばに値上(ねあ)がりしました。避難した人も、わずかな荷物しか持っていけなかったため、貯金がなくなると食べ物を買えなくなりました。

 

命つなぐパンや離乳食(りにゅうしょく)、食券(しょっけん)配り支援(しえん)
 そこで、国連WFPはシリアの人たちが食べていけるよう、いろいろな方法で支援(しえん)しています。
 シリア国内の人たちには、米、小麦、油、豆、塩、砂糖(さとう)などを配っています。特に栄養が必要な赤ちゃんには、特別な離乳食(りにゅうしょく)も配っています。

支援(しえん)の食べ物を受け取った女の子=シリア国内で
WFP/Abeer Etefa


 周辺の国の難民キャンプでは、このような食品に加え、毎日パンを何十万まいも配っています。また、難民キャンプの中にできた学校では、給食として栄養のつまったビスケットを配っています。
 外国の知り合いの家などににげた難民には、食品そのものではなく、スーパーに持っていくと食品を買える券(けん)を配っています。この券を使えば、スーパーで好きな食品が選べ、牛乳(ぎゅうにゅう)や野菜なども手に入ります。この券は、難民キャンプの人たちに配られることもあります。地元の人も、難民がお客さんとなり、もうけがふえるので喜びます。
 支援を受けている人たちは、国連WFPの配る食品や券以外に食べ物を手に入れる方法がありません。支援は命綱(いのちづな)です。

主食のパンをかかえるシリア人の男の子=イラクにある難民(なんみん)キャンプで
WFP/Dina El-Kassaby

 

募金不足(ぼきんぶそく)、ます危険(きけん)
 でも、そんな重要な支援活動を続けるのがむずかしくなってきています。
 シリア国内では、食べ物を積んだトラックがおそわれる事件(じけん)が起きています。危険(きけん)すぎてとどけられない地域(ちいき)もあります。
 また、避難する人がふえ続けているため、よりたくさんの募金(ぼきん)が必要となっていますが、十分に集まっていません。
 このまま募金が集まらなければ、食べ物を配る人数をへらすか、または1人当たりに配る量をへらすかしなければいけなくなるかもしれません。
 命綱の食べ物を何とかとどけられるよう、世界が力を合わせなくてはなりません。

 

※この記事の原文は2013年4月に朝日小学生新聞に掲載されました。

 



子どもページ「飢(う)えのない世界を」

1. 「飢(う)え」ってなに?2. なぜ飢(う)えてしまうの?3. 国連WFPの緊急支援(きんきゅうしえん)
4. シリアはいま5. 栄養が貧困脱出(ひんこんだっしゅつ)のかぎ6. 給食がかなえた夢(ゆめ)
7. 支援(しえん)を「卒業」する8. アフリカで農家の支援(しえん)9. 支援物資(しえんぶっし)をどう運ぶ?
10. 「進化」する支援方法(しえんほうほう)11. 支援(しえん)の現場(げんば)で働く12. 世界とつながろう