3. 国連WFPの緊急支援(きんきゅうしえん)


 

48時間以内に食べ物を配る
 戦争や、地震(じしん)、津波、洪水(こうずい)などの災害(さいがい)が起きるとまず問題となるのは、食べ物がないということです。何日も食べられない状態(じょうたい)が続くと、命や健康が危険(きけん)にさらされます。一秒でも早く食べ物をとどけなければなりません。
 そこで、国連WFPは、戦争や災害などが起きた国の政府(せいふ)から「助けてほしい」とお願いされたら、48時間以内に食べ物を運び、配り始めることにしています。これを緊急支援(きんきゅうしえん)といいます。
 国連WFPには、緊急(きんきゅう)のとき世界のどこにでも飛んで行けるよう準備(じゅんび)している職員(しょくいん)がいます。ただちに被災地(ひさいち)に入り、テントなどで寝泊(ねと)まりしながら緊急支援を始めます。

 

戦地や被災地(ひさいち)、情報(じょうほう)つなぎ世界中へ
 最初に行うことの一つが、アンテナを立て、電話や無線、インターネットの回線をつなぐことです。被災地ではこれらの回線がない、あるいはこわれていることがほとんどです。混乱(こんらん)する被災地では、正しい情報(じょうほう)を得て仲間に伝えることがとても大事なので、まずは情報の回線をつなぐのです。

2010年に大地震(だいじしん)にみまわれた、中央アメリカの島国ハイチ。
ここでも緊急支援(きんきゅうしえん)の拠点(きょてん)で
通信用のアンテナ(手前)が活躍しました。
WFP/Pierre Petry

 

 そして、食べ物を必要としている人が何人ぐらい、どこにいるかを調べます。さらに、支援(しえん)が必要な場所に一番近い、食べ物のありかをさがします。その国や近くの国の国連WFPの倉庫に食べ物が保管(ほかん)されているかを調べ、それを支援が必要な場所にどうやったら運べるか、輸送(ゆそう)の方法を考えます。
 船で港に持ってきて、そこからはトラックで運ぶのが基本(きほん)です。が、道路や港などがこわれて使えなくなっている場合は、それらの修理(しゅうり)を進めつつ、最初のうちは飛行機で食べ物を運び、空から落とすこともあります。
 また、戦争の場合は、争っている両方のグループの土地に食べ物をとどけます。どちらの側であっても、住民が食べ物にこまるのは同じだからです。とどけるときは、その土地のリーダーに「食べ物を運ぶから攻撃(こうげき)しないでほしい」と話をしておきます。
 ただ、それでも国連WFPのトラックがおそわれたり、戦いにまきこまれたりすることもあります。支援するために働く人の身の安全を守りつつ、支援を待っている人にどうやってとどけるか。これが緊急支援の難しさです。

 

「食べる」は「生きる」
 とどけるのは、料理せずすぐに食べられるビスケットなどです。避難(ひなん)している人は鍋(なべ)などを持っていないことが多く、自分で料理することがむずかしいからです。でも、これはただのビスケットではなく、必要な栄養がたっぷり入り、カロリーも高い、特別なビスケットです。
 食べる物があるということは、戦争や災害でつかれた心を、一瞬(いっしゅん)でもほっとさせてくれます。「食べる」ことは「生きる」ことの基本なのです。

国連WFPが配る栄養強化ビスケットを受け取ろうとするハイチの人たち
WFP/Alejandro Lopez-Chicheri

 

※この記事の原文は2013年4月に朝日小学生新聞に掲載されました。

 



子どもページ「飢(う)えのない世界を」

1. 「飢(う)え」ってなに?2. なぜ飢(う)えてしまうの?3. 国連WFPの緊急支援(きんきゅうしえん)
4. シリアはいま5. 栄養が貧困脱出(ひんこんだっしゅつ)のかぎ6. 給食がかなえた夢(ゆめ)
7. 支援(しえん)を「卒業」する8. アフリカで農家の支援(しえん)9. 支援物資(しえんぶっし)をどう運ぶ?
10. 「進化」する支援方法(しえんほうほう)11. 支援(しえん)の現場(げんば)で働く12. 世界とつながろう