2. なぜ飢(う)えてしまうの?


 

世界では食糧(しょくりょう)足りているのに
 前回、世界の8人に1人は飢(う)えているということをお伝えしました。「食べ物が足りないなら、もっと作ればいい」と思うかもしれませんね。でも実は、世界にはすでに、すべての人に十分な量の食べ物があります。ただ、食べ物がたくさん手に入る人や国がある一方、手に入らない人や国もあるのです。なぜでしょうか。

 

世代こえ続くまずしさ、自然災害(しぜんさいがい)の増加(ぞうか)で
 一番の原因は、まずしさです。世界では5~6人のうち1人が、1日100円ちょっとのお金で生活しています。これでは十分に食べ物を買ったり、食べ物を作るための畑や家畜(かちく)、種、肥料(ひりょう)などを買ったりできません。
 また、まずしいと体調が悪くても病院に行ったり薬を買ったりすることができず、働けなくなってしまうこともあります。
 すると、子どもも働いてお金をかせがないといけなくなり、学校に行けなくなります。教育を受けられなかった子どもは、大人になっても仕事をさがすことがむずかしく、まずしさと飢えが子や孫へ続いていくのです。
 まずしさに追い打ちをかけるのが、日照りや洪水(こうずい)、台風、地震(じしん)などの自然災害(しぜんさいがい)です。
 日本でも地震や台風などで畑が被害(ひがい)を受けたというニュースを聞いたことがあるでしょう。まずしい国では、水道がないため雨水にたよった農業をしているところが多く、日照りが続くと農作物がかれてしまいます。家畜も、牧草や飲み水がなくなり、死んでしまいます。
 また、大雨がふると、日本のように川から水があふれ出ないような工事をしていないため、畑が水びたしに。がんばって農業をしても、食べ物が得られないのです。
 世界では、報告(ほうこく)された自然災害の数がこの35年間で4倍近くにふえ、気候変動の影響(えいきょう)ではないかといわれています。じっさい、日照りなどの災害がくり返し起きている地域(ちいき)もあり、ただでさえまずしい生活をしている人をより苦しめています。

日照りで作物がかれてしまったと話す農家の人=アフリカ中南部の国ザンビアで
WFP/Yuko Yasuda

 

戦争で人間自身も原因(げんいん)に
 自然災害に加え、人間自身も飢えの原因(げんいん)を作り出しています。戦争です。
 戦いが起きれば、家や畑をすて、にげるしかありません。作物の収穫(しゅうかく)はできず、仕事も失うので、貯金がなくなれば食べ物を買うこともできなくなります。
 また、戦争に勝つために、相手方の土地に食べ物が入らなくなるようにして弱らせようとする「ひょうろうぜめ」という作戦が行われることもあります。戦争に勝つために、わざと相手を飢えさせるのです。おそろしいと思いませんか。
 人間はだれでも、どこに住んでいても、十分に食べる権利(けんり)があります。国連WFPは、飢えてしまった人たちの命と健康を守るため、食べ物を配って応援(おうえん)しています。

戦争のためコンゴから、となりのルワンダ(どちらもアフリカ中部の国)に
にげてきた人たち。こうした戦争も飢(う)えの原因になります。
WFP/John-Paul Sesonga

 

※この記事の原文は2013年4月に朝日小学生新聞に掲載されました。

 



子どもページ「飢(う)えのない世界を」

1. 「飢(う)え」ってなに?2. なぜ飢(う)えてしまうの?3. 国連WFPの緊急支援(きんきゅうしえん)
4. シリアはいま5. 栄養が貧困脱出(ひんこんだっしゅつ)のかぎ6. 給食がかなえた夢(ゆめ)
7. 支援(しえん)を「卒業」する8. アフリカで農家の支援(しえん)9. 支援物資(しえんぶっし)をどう運ぶ?
10. 「進化」する支援方法(しえんほうほう)11. 支援(しえん)の現場(げんば)で働く12. 世界とつながろう