チャド:難民キャンプの若者たちの夢を育む「語り部プロジェクト」

Published on 14 July 2017

20万人のスーダン難民が暮らすチャド東部のジャバル・キャンプ photo:WFP/Nathalie Magnien

国連WFPによる「語り部プロジェクト」が、チャドにおけるスーダン難民の若者たちが声を上げる場となり、若者たちの夢を育んでいます。

約2万人のスーダン難民が住むチャドのジャバル・キャンプでは、35人の熱心な男女の若者たちが、「語り部プロジェクト」に参加しています。
このプロジェクトは、若い難民が映像や写真、ソーシャルメディアを通し、自分達を表現することを目的としています。彼らにとって、人生は幼い頃から厳しいものであり、戦争の記憶は鮮明なままです。この制作活動を通し、彼らは自分たちに起きた出来事、時には幸せな、そして時には悲惨な数々の記憶、さらに希望や夢を分かち合うことができます。このプロジェクトによって、難民キャンプ内では人々が結婚し、赤ちゃんが生まれ、食事を分かち合い、働き、教え、学ぶ、といった日常の出来事が起きている、ということを、外部の人も垣間見ることができるようになりました。

チャドがこのプロジェクト実施国に選ばれたとき、多くの人は心を躍らせながらも心配していました。しかし、キャンプではインターネットアクセスや、ITや言語習得クラスも用意され、たくさんの若者が、喜んで挑んでくれました。

カルトゥーマは27歳で、9歳のイクラス・アフマと、2歳のマリアムの、2人の美しい娘がいます。2017年3月、彼女の夫は彼女と離婚することにしました。夫は妻に、外で働くことを望んでいませんでしたが、カルトゥーマは故郷ダルフールで話されている言語の1つであるマサリット語をコミュニティのメンバーに教えたいと考えていたのです。現在彼女は、言語を無報酬で教えており、2人の子どもたちを養っていくのは簡単ではありませんが、自分の選択を後悔していません。

「子どもたちは自分の国を知らなくても、それでも彼らはスーダン人です。彼らの文化や伝統を知っていなければなりません」とカルトゥーマは言います。

アバカール(27歳)も、彼女に同意しています。彼はプロジェクトに参加していることを誇りに思っています。 「私は、この安全な場所にいることは嬉しいのですが、私たちのルーツはスーダンにあります。自分が生まれた場所というのは、他のどの場所よりもよいものです。」

ヒセイン(33)は、この点に同意していません。

「私は戻りたくありませんし、起こった事を決して忘れることが出来ません。私の姉妹はレイプされ、村人60人が殺されました。 また2010年まで私たちが住んでいたキャンプが襲われた際は、彼らは銃器を持っていて、36人が殺され、180人が負傷しました。私は数時間拘留されましたが、ありがたいことに、生きたまま解放されました。私は 2カ月前に結婚し、今の目標はヨーロッパに行くことです。」

シマとハナンは叔母と姪です。彼らは3世代の家族とともにキャンプに住んでいます。 シマの母親アイーシャは、400人以上の生徒が登録されているキャンプの学校のディレクターをしています。彼らがスーダンでの生活を回想するときは、良い思い出が瞬時に浮かびます。

「私たちが隣人と平和に暮らしていたとき、私たちは時に踊り、食事を分かち合い、完璧な調和で満たされていました。戦争はすべてを破壊しました。戻りたいという気持ちはありますが、それは不可能でしょう。私たちが行ける場所はどこにもありません。」

プロジェクト参加者たちは、衝撃的な経験やキャンプでの困難な生活にもかかわらず、未来への希望を持っています。将来何になりたいか尋ねると、彼らの答えは医者、弁護士、ジャーナリスト、教師です。

国連WFPより食糧や現金支援を受け取っているジャバル・キャンプの住民は、プロジェクト参加者達の言葉や写真、映像を通し、自分たちの夢や望みを声にすることができます。