シリア食料事情調査 400万人が食料を十分に生産・購入できず ~FAO/WFP共同報告書は、紛争が続けば2014年シリアの食料見通しは深刻な状態に陥ると予測~

Published on 09 July 2013

WFP/Abeer Etefa

国連食糧農業機関(FAO)及びWFP 国連世界食糧計画は合同で新報告書を刊行し、シリアの食料安全保障は過去1年間で大幅に悪化し、現在の紛争が続けば今後12ヶ月間で同国内の農業生産が更に減少すると発表した。

2013年7月5日

ローマ発

国連食糧農業機関(FAO)及びWFP 国連世界食糧計画は合同で新報告書を刊行し、シリアの食料安全保障は過去1年間で大幅に悪化し、現在の紛争が続けば今後12ヶ月間で同国内の農業生産が更に減少すると発表した。

5月~6月、FAOとWFPの作柄・食料安全保障調査団がシリアを訪問した。同調査団報告書では、「ここ一年来、農畜産業生産は打撃を受け、出回る食料の量は減少し、また食料を入手することが難しくなった」と述べた。

今のような紛争が継続すれば、2014年の食料見通しは現在よりも更に悪化し、「作物や家畜の生産においては現在、様々な障害が生じている。現在の危機的状況が解消されないままであれば、今後12ヶ月間の国内生産は大きな打撃を受ける」と報告書は述べている。

限られた機会

FAO及びWFPは、「この危機によって被害を受けた家族が、重要な食料及び収入源を失わないようにする手段は限られている。」と述べている。

このFAO/WFPの合同調査団は、2013~2014年期の小麦の必要輸入量は約150万トンになると予測している。現在の小麦生産量は240万トンで、危機的状況に陥る前の年平均収穫量である400万トン超を約40パーセント下回り、不作に終わった2011~2012年期よりも15パーセント少なかった。

畜産部門もまた「紛争の継続により深刻な被害を受けている」と報告書は述べている。家禽生産は、2011年に比べ50%以上減少すると推定されている。羊や牛の頭数も大幅に減少している。

価格高騰

家庭レベルでは、大規模な人口移動、農業生産の中断、失業、経済制裁、通貨の下落、そして食料価格と燃料価格の高騰によって食料不安に拍車が掛かった。いくつかの地域では、2011年5月から2013年5月の間に小麦粉の月平均価格が倍増した。全国各地で深刻なパン不足が発生したため、WFPは今年4月、小麦粉の配布を開始した。

農業生産資材は高騰し入手が難しくなり、農業機械や貯蔵設備は損傷を受けた。戦闘の脅威や、農民が農地から逃げ出したことなどにより、食料生産は様々な難問に直面している。作物の一部は収穫されない恐れがあると報告書は警告している。

その他のインフラでは、用水路や綿工場もまた被害を受けた。小麦の製粉工場やパン屋は、もはや稼動していないか、していたとしても少ししか生産できていない。更に、制裁によって、農業生産資材、作物保護資材、軽油、予備品が不足し、状況が悪化した。

過去18ヶ月間、登録されている160万人と登録を待つ人々を含み、シリアから非常に多くの難民が逃げ出した。

動物疾病のリスク

獣医セクターも著しく被害を受けており、ワクチンの供給が不足し家畜疫病が隣接国に伝達し得る重大な危険性がある。調査団は、地域の家畜衛生における深刻な問題を回避するためにはワクチンの提供が必要で、その普及を促すためのコールドチェーンの確立が必要だと勧告した。

また、農村インフラの修復、農業生産資材や農機具、技術的なアドバイスの提供、そして家を残してきた人々が土地にアクセスできるようにすることも含めて推奨している。

FAOは今年初めから7万人に近い人々を支援してきた。支援には、動物飼料、家禽パッケージ、小型反芻動物、種子や農業生産資材が含まれる。FAOは、利用可能な資金によって、今後も同様の支援を21万6千人に提供する。

WFPは、シリア国内のパートナー組織と協力し、6月にはシリア国内で250万人に食糧支援を行い、7月には300万人を支援することを計画している。また、10月までに400万人に支援を行うため、ロジスティクス(物資輸送)や支援活動の運用能力を強化する。更に、WFPは、近隣諸国に避難した100万人近い難民に食糧支援を行っている。

FAOは、76万8000人を支援するために4,170万ドルの資金を緊急に要請した。これまでは、その10パーセントに満たない330万ドルしか受領していない。種子、肥料、獣医用品のためだけではなく、キャッシュ・フォー・ワークプログラムに対しても資金が必要である。

これからの作付けシーズンに向かっての支援が非常に重要である。10月に作付けができるよう、肥料や種子を農民に提供するための資金を8月までに確保しなければならない。その支援がなければ、農民の多くは2015年中旬まで小麦を収穫できなくなってしまうであろう。

 

WFPは、 シリア国内と近隣諸国の両方で食糧支援を行うため、毎週2700万ドル以上の資金を必要としている。シリア人道支援対応計画(SHARP)改訂版では、2013年末までにWFPが必要とする資金は、シリア国内の支援だけでも4億9千万ドルである。7月から9月の間にシリア国内で支援活動を行うために必要な資金のうち、まだ48パーセントしか集まっていない。