【開催報告】 国連WFP事務局長×竹下景子 「紛争と飢餓~スーダンと支援の現場から~」

Published on 20 December 2017

写真:©M.Kuroyanagi

12月11日(月)、紛争と飢餓をテーマにしたトークイベントを都内の東京ウィメンズプラザで開催し、国連WFP事務局長デイビッド・ビーズリーと、竹下景子国連WFP協会親善大使が登壇しました。当日は154名の方々が参加。ビーズリー事務局長は「紛争と飢餓:飢餓ゼロに向けた国連WFPの役割」と題した講演、そして、竹下さんは、10月のスーダン視察を受けて、トークショー「紛争と飢餓~スーダンの支援現場から~」を行いました。また、竹下さんの長年の活動に対する感謝状が事務局長から贈呈されたほか、2人の対談も行われました。

講演「紛争と飢餓:飢餓ゼロに向けた国連WFPの役割」
国連WFP事務局長デイビッド・ビーズリー


ビーズリー事務局長からは冒頭に、飢餓人口が上昇に転じたこと、その原因は主に人災、つまり紛争であること。そして、紛争を終わらせることができれば、飢餓が終わる可能性が見えてくると強調しました。一方で、人口1,000人当たり、飢餓人口の割合が1%増加すると、移住する人数が1.9%増加するという報告もあるように、各国で紛争による飢餓の悪化により避難民や難民が増加していること、また、資金難によって重度の飢餓にある1億900万人のうち支援が届いているのは8,200万人に限られている現状が伝えられました。
例えば、世界中のミレニアル世代がそれぞれ1年に2米ドルの寄付をすれば、20億米ドルの寄付が集まると話し、「次の時代を担う人々が、政治的・宗教的に分断された社会ではなく、手を取り合う社会を築いてくれると信じている。飢餓のない世界を達成するために、さらなる協力をお願いしたい」と訴えました。

トークショー「紛争と飢餓~スーダンの支援現場から~」
竹下景子国連WFP協会親善大使


はじめに、竹下景子さんのスーダン視察をまとめた映像を上映し、トークセッションを開始しました。竹下さんはまず、初めて訪れた難民キャンプでは、その規模の大きさや南スーダン難民の数の多さ、それに伴い必要とされる支援食糧の多さに驚き、事態の大変さを感じたことを伝えました。また、現在も月に2万人もの難民がスーダンに逃れてきているため、支援が追いついていない現状も強調。キャンプ内の診療所で実施されている母子栄養支援の現場で会った多くの赤ちゃんは月齢に対してはるかに小さく、あるお母さんは、臨月にも関わらずお腹に赤ちゃんがいるとは分からないほど痩せていたと語りました。
スーダン国内における学校給食支援も視察した竹下さんは、足の不自由な男の子が話しにきてくれたことを語り、「給食があることへの感謝や、先生になりたいという夢を語ってくれて胸がいっぱいになりました。障がいがあってもみんなと同じように夢を持てる、学びの場がある。学校給食支援の大切さを身に染みて感じました」と伝えました。
そして最後に、「スーダンが紛争以外にも、自然災害や経済の悪化などの複合的な要因で飢餓に陥っていることを実感しました。また途上国が難民を受け入れる際の負担の大きさも感じましたが、それに対する国連WFPの多角的な支援活動を知り、ゼロハンガーに向けた良いモデルになるのではという期待を持ちました」と語り、参加者の方々に向けて、紛争に巻き込まれ多くを失った人々に対する長い目で見た支援への協力を訴えました。
⇒竹下さんのスーダン視察について詳しくはこちら

対談
国連WFP事務局長デイビッド・ビーズリー
竹下景子国連WFP協会親善大使


冒頭、2005年から国連WFPをサポートしてきた竹下景子さんへビーズリー事務局長から感謝状の贈呈がありました。それを受けて竹下さんは「思いがけないことに驚きました。支援は一人ではできません、続けてこられたのは皆さんのおかげです。今後もたくさんの方にご協力をいただけるように努めていきたいです」と述べました。


支援現場で最も印象に残っているエピソードを聞かれた事務局長は「人々を支援することのできる最高の仕事に就いていると思っています。しかし私は毎晩、救えた子どもたちのことではなく、資金の不足や、紛争によって救えなかった子どもたちのことを思い浮かべてしまうのです」と述べたうえで、心に残っている話として、「南スーダンからウガンダに逃れた4人の子どもの母親は、南スーダンの村で教師をしている夫が、最後まで村に残り子どもたちを守っており、なるべく早く家族が再会できれば、と話してくれました」と語りました。
一方竹下さんは、2016年にスリランカを視察した際に、ニデルセン君という13歳の男の子に会った時のことを語りました。「私はニデルセン君が給食支援を受け始めた7歳の頃の写真を持っていたのですが、立派な中学生に成長していました。勉強が大好き、学校が大好きと言っていて、将来の夢はお医者さんとのことで。理由を聞くと『いい職業に就くことで親の面倒を見られるから』と言っており、ご両親は紛争終結後やっと故郷に戻り家を建てたりしていて、彼もその苦労を見ていたのか、その言葉を聞いて、これこそが国連WFPが学校給食支援を通じて実現したいことだと実感し、嬉しかったです」と話しました。
最後に、今後に向けた抱負や日本の皆さんへのメッセージ聞かれ、事務局長は、「紛争を終結させること、そして、より多くの人々に知ってもらうことが大事だ」とコメント。竹下さんは、「地球上で起こっていることに目を向けてもらいたいです。30円あれば1人1日分の学校給食を届けることができます。支援は相互通行、日本も3.11の時に世界から多くの支援を受けましたが、お互いに助け合う、ということを私なりに伝えていきたいと思います」と語りました。