南スーダン:飢きんが鎮静化する陰で、飢餓状態は拡大

Published on 23 June 2017
WFP/Sabine Starke

【ローマ/ジュバ(南スーダン)発】  南スーダンで起きている飢きんは、大規模な人道支援により落ち着きを見せている、という報告が本日発表されました。しかし、いまも南スーダン全土で差し迫った状況が続いていることは変わりなく、毎日の食べ物にも事欠く生活をしている人の数は、2月時点の490万人から600万人にまで増え、かつて経験したことのない高いレベルの食糧不足に見舞われています。

飢きんが鎮静化する陰で、飢餓状態は拡大

本日、南スーダン政府、国連WFP、ユニセフ(国連児童基金)、FAO(国連食糧農業機関)ならびに人道支援のパートナー団体が発表した、総合的食糧安全保障レベル分類 (Integrated Food Security Phase Classification、略称IPC)の最新報告によると、2月に飢きんが正式に宣言された旧ユニティ州のLeer郡およびMayandit郡の現状は、飢きんの状態を脱したとしています。また、2月時点で飢きんの危機に瀕しているとされたKoch郡 およびPanyijiar郡が飢きんに陥ることから免れたことは、迅速かつ継続的な人道支援が大きな役割を果たしたと考えられます。

しかし、旧ユニティ州とジョングレイ州の4万5,000人は依然として壊滅的な状況にあり、人道支援が停止すればすぐさま飢餓に直面することが予想されます。その内訳は、紛争の影響および昨年の収穫量不足のために多くの人びとが避難を余儀なくされた結果、彼らを取り巻く状況が急速に悪化している、旧ユニティ州の2万5,000人とジョングレイ州の2万人です。

状況の悪化は国全体に広がっています。IPCの分類で、「飢きん」よりひとつ下のレベルである緊急を要する飢餓状態にあるとされる人の数が、2月時点の100万人から170万人へ増加しました。

「危機はまだ終わっていません。私たちは、人びとを何とか生き延びられるようにしているだけで、依然としてあまりに多くの人びとが極限的な飢餓の崖っぷちに立たされているのです」とFAO緊急部長ドミニク・ブルジョンは述べています。「この差し迫った状況を止める唯一の方法は、紛争を終わらせ、人道支援を妨げられることなく届け、そして人びとが生計を建て直せるようにすることです」

命を守る緊急食糧支援継続の重要性を訴える

国連3機関は、飢きんが最も集中していた地域への支援の成果を損なってはならないと警鐘を鳴らしています。人びとの自給自足能力は著しく損なわれており、飢きんを食い止めるためには、命を守る緊急食糧支援および生計支援を継続しなければなりません。

「飢きんの影響を受けた地域で出た支援の成果は、支援を必要とする家族に持続的に行き渡り続けることで何が達成できるかを示しています。しかし、私たちの仕事はまだまだ続きます」と国連WFP南スーダン事務所代表のジョイス・ルマは言います。「この危機は悪化の一途を辿っています。もし、人道支援が止まったなら、何百万人もの人びとが飢餓に直面すると予想されます。紛争の終結が何よりも必要なのです」

「人道支援機関に支援を可能とするアクセスと資金さえあれば、迅速かつ強力な支援が可能となり、たくさんの命を救うことができます」とユニセフ南スーダン事務所代表マヒンボ・ムドエは言います。「しかし、南スーダンでは100万人以上の子どもたちが栄養不良に陥っていると推測されます。食糧不足は重大な問題ですが、同様に、保健医療サービスの不足、劣悪な水や衛生環境、そして何よりも治療を必要とする子どもたちへのアクセスが制限されていることが問題です。現時点では、南スーダン国内の多くの地域が情勢不安のために分断されており、何十万人もの子どもたちが大惨事寸前の状況にあります」

南スーダンのいくつかの地域では、急性栄養不良は依然として公衆保健上の重大な緊急事態であり、全急性栄養不良(GAM)の割合が世界保健機関(WHO)が緊急事態と定める基準値である15%を超えています。中でも、旧Duk郡とジョングレイ州が最も高い26.1%にも達していると報告されています。7月に次の収穫期を前に食糧の備蓄が底をつく時期がピークを迎えることを受け、状況が一層悪化することが予想されます。

厳しい見通し

食糧不足は、毎年訪れる食糧備蓄が底をつく時期と合いまり、武力紛争や例年を下回る収穫量、食糧価格の高騰により悪化しています。

最近まで国の穀倉地帯であった南西部は、主に紛争の影響で前例のないレベルの飢餓に直面しています。農民たちは国境を越え近隣諸国に逃れることを余儀なくされ、手入れされていない畑が残されています。2018年には、国の穀物生産が記録的な不足に見舞われると予測されています。

南スーダン北東部のナイル川西岸では、紛争の再燃により大量の避難民が発生し、人びとの生計や市場、および人道支援が中断を余儀なくされ、飢餓が急速に拡大しています。

飢きんに対する支援

国連WFPは今年に入り、南スーダンにいる340万人の人びとへの支援を実施しました。これら支援の中には、紛争によって住み慣れた土地を追われた、あるいは紛争の他の影響を受けた260万人の人びとを対象とした命を救う緊急食糧・栄養支援があります。また、80万人の人びとを対象とした、急性の衝撃に対する回復力をつける支援や継続的な難民支援などの復興自立支援も含まれます。

国連WFPは、ユニセフやパートナー団体と協力して、最も離れた地域のコミュニティにも支援を届けるべく、ヘリコプターや物資の空中投下を駆使した迅速な支援の実施規模を拡大してきました。

 WFP/Marco Frattini

飢きんは特定の条件を満たしたときにのみ宣言されます。少なくとも地域の20%の家庭が極端な食糧不足に陥りその自助対処に限界があること、急性栄養不良率が30%を超えていること、そして、人口1万人に対して毎日成人2人を超える死者がいること。これらすべての条件が合わさったときに、飢きん宣言が出されます。

(公財)日本ユニセフ協会提供の日本語訳をもとにしています。

 

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