国連WFP新報告書―食糧難が大量移住の引き金に

Published on 12 May 2017

国連WFPは世界30カ国以上で700万人以上の難民を支援 WFP/Dina Elkassaby

故郷を離れ、移住を余儀なくされている人の数が全世界で記録的な水準に達する中、国連WFPは、食糧難が深刻化すると他国への移住増加の引き金になると発表しました。報告書によると、人口1,000人当たり、栄養不足人口の割合が1%増加すると、移住を強いられる人数が1.9%増加します。さらに、紛争が1年延びるごとに、移住を強いられる人数も0.4%増加する、と指摘しています。これは、食糧不足が深刻化している国や、紛争が起きている国では、移住が加速されることを示しています。

国連WFPはまた、食糧不足が武力紛争の発生や激しさに大きな影響を与えていると明らかにしました。人々がひとたび移動し始めると、収入源もなく、食糧やその他の人道支援にもなかなか手が届かないことから、さらに移動し続けざるを得ない状況に陥ります。また、食べ物を求めて移動を始めても、その道のり自体が金銭負担と危険を伴うため、食糧難に陥ってしまうことを指摘しています。

「WFPは、空腹に苦しむ世界中の難民を支援するためあらゆる努力をしています」と国連WFP事務局長デイビッド・ビーズリーは語ります。 「家を逃れ、苦難に直面している何百万人もの私達の兄弟姉妹の悲惨な状況に光を投じることが、私たちの務めです。なぜ移住を迫られるのか、その過程を理解することにより、強制移住の問題に対処し、人々の苦しみに終止符を打つことができるのです。」

この報告書は、人々が本来暮らしていた場所やその近くで食糧を確保し生計を立てることができるよう、国際社会に対して投資を促しています。そうすることにより、人々が家を失ったり他国へ移住を迫られたりするケースが削減でき、また人道支援を効率化し、さらに長期にわたる大きな社会経済的便益を図ることができると述べています。

「大量移住の根源:食糧安全保障、紛争、そして国際移住」と題したこの報告書は、国境を越える移住の原因となっている食糧安全保障やその他の要因について量と質の両面で包括的に検証する初の試みとなっています。また、最後の手段として身一つで移住を余儀なくされた人々の劇的なエピソードも多く語られています。

例えば、シリアからヨルダンへ家族と一緒に逃げた女性は、「生き残るために雑草を食べなければならなく、子どもたちが空腹のため一晩中眠れず泣いていました」と語っています。

デリゾール出身の男性は、祖国で目のあたりにした苦しみをこう説明しています。「やつらは人々を飢えさせ、農作物を盗み、学校を閉鎖し、人々が仕事をできないようにしました。」

報告書では、人々は移住を迫られても家を離れがたく、できるだけ本来の生活場所の近くにとどまろうとすることを明らかにしています。話を聞き取ったシリア難民家庭の80%近くは少なくとも1回、そして65%が2回以上、国内で移動を余儀なくされています。そして調査に参加したシリア人のほとんどは、状況が安定し平和が戻ればシリアに戻りたいと、強く希望していました。

現在、世界では複数の危機が長期化し、政治移行期とも重なり、難民や家を失った人々への国際的な食糧・人道支援は困難に直面しています。2016年、国連WFPは32カ国で難民690万人に対し、食糧支援や、食費としての現金や電子マネー等の配布を行いました。今年9月まで難民700万人近くに支援を継続するため、6億米ドルを必要としています。

▼報告書(英文)はこちら

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