HIV/エイズ対策としての食糧支援


HIV/エイズ

HIV/エイズの容赦ない拡大は子どもたちの人生に痛々しい傷跡を残すだけでなく、その国の将来の安定や繁栄をも脅かしつづけています。1,660万人以上もの子どもたちがエイズや関連した病気によって親を亡くし、その多くが生き延びるために苦難を強いられています。 母体でHIVに感染し、そのはかない人生の間中苦しみながら亡くなっていく子どもたちが多数いる一方で、さらに多くの子どもたちがHIV感染の脅威が常に介在する世界で必死に生き抜こうとしています。

HIVの感染率が頭打ちしたとしても、エイズによる死亡率は今後も上昇しつづけることでしょう。

WFPでは、孤児や弱い立場にある子どもたちの安全と安寧を確保すべく支援活動を行っています。子どもやその親に対するWFPの食糧支援は、病気によって人生の先行きが見えなくなってしまった人々の人生に希望を与えます。栄養価のある食糧はHIVに感染した親が一日でも長く生き延び、少しでも多くの時間を子どもと過ごせるための一助となります。また対象をしぼった食糧支援によって、弱者である子どもたちは教育を受け、将来につながる技能を修得することもできます。WFPの食糧支援は、人々の一時の空腹を満たすだけでなく、より良い未来につながります。

援助を必要としている人々に食糧を届けるのに最も確実な方法は、HIV/エイズに苦しんでいる家族のための支援活動を実施している団体と協力することです。多くの場合、食糧支援を支援内容に加えることによって、職業や技能訓練、生命保護、カウンセリングを提供するプログラムを更に強化・拡大することができます。新しい形態のパートナーシップの構築によって、WFPはHIV/エイズ危機への対応を更に強化しています。

 

女性のHIV/エイズ感染の拡大

世界中でHIV/エイズ感染は拡大し続けています。国連エイズ合同計画(UNAIDS)は、2009年末時点でHIV/エイズ感染者数は約3,330万人と推定しています。サハラ砂漠以南のアフリカでは15歳から24歳の感染者は、女性が男性の8倍と、女性感染者の世界的な増加が深刻化しています。

これには、女性が社会的に弱い立場に置かれているため、エイズの影響をより大きく受けやすいことが一つの理由としてあげられます。例えば、教育を受けていないためにHIV/エイズについて正しい知識や情報を入手する機会が乏しいこと、コミュニティーからの偏見や孤立を恐れて治療やカウンセリングを受けられないこと、収入を得るために性的労働に従事する傾向があることや性的暴力を受けやすいことなどです。

 

子どもたちとHIV/エイズ

HIV/エイズは確実に子どもたちへも影響を及ぼしています。世界には、HIVに感染している15歳から24歳の若者は約500万人、抗レトロウイルス薬による治療を必要としている15歳以下の子どもは36万人にも上ります。また、HIV/エイズに感染していない子どもにも、間接的にこの病気の影響が襲いかかっています。親をエイズによって亡くした子どもは、サハラ砂漠以南のアフリカでは1,490万人にのぼります。彼らは、収入の道を断たれ「貧しい者の中でも最も貧しい者」となり、家族を支えることが優先され、学校からのドロップアウトも含め、教育を受ける機会を奪われています。また、人身売買の対象になりやすく、自分で生きていくために路上で生活をするストリートチルドレンになることもあります。多くのエイズ孤児は最貧困層の中での生活を強いられ、HIV/エイズに関する知識に乏しいだけでなく、感染する危険度の高い環境に置かれています。

 

予防教育

これ以上のHIV/エイズ感染の蔓延を阻止し予防するためには、教育が必要不可欠です。教育は人々により正確な知識を与え、安全な行動をもたらし、結果的にHIV/エイズ感染予防につながるからです。その中でも教育が特に女子の感染予防に成果を上げていることが調査などからも明らかになっています。例えば、ザンビアでは、教育を受けた女子の感染率は、教育を受けていない女子に比べ2分の1です。ウガンダの農村部では、中等教育を受けている女性の感染率は、教育を受けていない女性の3分の1になっています。ジンバブエでは、15歳から18歳の女子については、学校からドロップアウトしたグループのHIV感染率は、就学しているグループの6倍です。

教育はまさしく、HIV/エイズにとって「効果的なワクチン」なのです。そこでWFPは、より多くの人たちに教育の機会を拡げ、HIV/エイズ予防とHIV/エイズ感染者及びその家族の支援につながる食糧支援を行っています。